北九州市は2日、市立4病院の中核である医療センター(小倉北区)で4月から着手した病床稼働率の向上策に一定の効果が表れ、2009年度当初予算の想定より3億5千万円の増収が見込めるとの認識を市議会保健病院委員会で示した。ただ、08年度決算は単年度実質収支が初めて約5億円の赤字に転落する見通しで、市病院局はさらなる増収策に取り組む方針。
市病院局は今年1-3月、民間コンサルタントに医療センターの経営分析を依頼。入院待機患者が常に200人以上いるにもかかわらず、08年度の病床稼働率が82.5%で、月平均の手術件数も前年度に比べ1割近く減り「収入減少の主な要因」との指摘を受けた。
そこで、4月から入院患者の情報を一元化し、各病棟への患者受け入れを診療科にかかわらず柔軟に実施。手術件数を増やすため、術後の手術室の片付けなどを専従で行うスタッフ2人を導入した。6月の病床稼働率(速報値)は92.2%と05年2月以来の9割台回復を果たすなど効果も現れ始めているという。業務の見直しで4千万円の経費削減にも取り組む。
医療センターを含む市立病院全体では、08年度単年度実質収支が約27億円の赤字の見通しであることがすでに明らかになっている。
=2009/07/03付 西日本新聞朝刊=