大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」が生活保護受給者の診療報酬を不正受給したとされる事件で、荒井正吾知事は2日、舛添要一厚生労働相に会い、再発防止に向けた国の支援を要望した。舛添厚労相は「事件は承知している。事務方に指示する」と述べたという。
今回の事件では、医療費が全額公費負担となる生活保護制度が悪用され、同病院に入院した大阪や京都の受給者が架空請求に利用されたとみられている。
荒井知事は問題点として、県境を越えると医療扶助のチェックの仕組みがない▽受給者は自己負担がないため、医療機関が不正請求をしても発覚しにくい▽過剰診療の判断が極めて困難--の3点を指摘。対策として、医療や診療報酬の実態を自治体が効率的に把握できる態勢や、病院開設を許可した自治体が、他の自治体から来た受給者の医療費給付状況を把握できるシステム作りを要望した。
一方、県は2日、医療法と生活保護法に基づき、山本病院に立ち入り調査をした。入院患者が55人になったことを確認し、入院の経緯などを聞き取った。【阿部亮介】
毎日新聞 2009年7月3日 地方版