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外科医:不足を懸念、NPO発足 大学教授や企業代表ら、政策提言や啓発へ

 ◇長時間労働、低賃金、訴訟リスク…

 深刻さを増す外科系医師の不足を懸念し、対策の提言や啓発活動を行う特定非営利活動法人(NPO)「日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会」(松本晃理事長)が発足した。今後、外科医の待遇改善や学生への教育支援活動などを進めていく。

 医師不足は産婦人科や小児科などで顕著とされるが、日本外科学会の発表では96~04年に、産婦人科1・1%減、小児科6・5%増に対し、外科は2・1%と最も減少幅が大きかった。労働時間の長さや訴訟リスクの高さ、低賃金などの理由が挙げられた。

 同学会の調査でも裏付けられた。外科医の週平均勤務時間は59・5時間。開業医など診療所勤務を除く病院勤務医に限ると68・8時間で、法定労働時間を大きく上回る。医師1000人当たりの新規医療訴訟数は05年9・6件と産婦人科(11・5件)に次ぎ多い。給与は、病院勤務医の平均年収が診療所の外科医の半分という「格差」問題がある。

 同会は医薬品メーカー、ジョンソン・エンド・ジョンソン元社長の松本理事長の呼びかけで設立、大学外科系医局の教授や製薬、保険などの企業代表者らが理事として参加した。

 会は既に、診療報酬制度での外科技術料アップを求める要望書を舛添要一厚生労働相らに提出。今後は医学生に外科の魅力を伝える活動や、小中学生を対象にしたPR活動も展開する。同会監事の里見進・東北大病院長は「外科志望の学生は80年代後半の60%程度だ。現在は40代の医師が外科医療を支えているが、このままでは10年後の崩壊は必至。政府、市民に働きかけ、根本的な解決策を提言したい」と話している。【奥野敦史】

毎日新聞 2009年7月3日 東京朝刊

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