2009年7月3日0時2分
金融機関、年金基金、財団などの2009年3月期決算が深刻な議論を呼んでいる。有価証券、中でも安定を求める債券運用の損失処理が、予想外に多額だからだ。
運用者からすると、政府のお墨付きの権威ある格付け会社がトリプルA、ダブルAという高い格付けをつけていた債券だからこそ安心して保有していた。それなのに多額の損失を被り、青天のへきれきだというところだ。格付け会社に損失を負担してもらえないか、といってもむなしい。格付けは「ひとつの意見」であって保証ではない、と答えが返ってくるだけだ。
運用者は自らの役割として、財務データを入手し分析したうえで格付け評価をする、すなわち「自家用格付け」をする必要がある。格付け会社の格付けはあくまで参考にとどめるということだ。そうなると、格付け会社の格付けは誰の目にも明らかに「ひとつの意見」でなければならない。債券発行者の財務データ入手と分析手法において、格付け会社と運用者が同じ土俵に乗ることが原理原則となる。
残念ながら、今回の損失の中心となったサブプライムローンを組み込んだ仕組み債は、そうはなっていなかった。財務データが法定開示の対象でないため、運用者は簡単に入手できず、コンピューターモデルによる分析手法は、誰もがすぐに理解できるものではなかった。ほとんどの運用者は、「自家用格付け」ができなかった。だからといって、いまさらどうにもならない。
今回の教訓は、運用者は「自家用格付け」ができない債券に手を出してはならないということに尽きる。権威のある格付け会社がいかに高い格付けをつけていようとも、である。(岳)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。