「大相撲名古屋場所」(12日初日、愛知県体育館)
横綱朝青龍(28)=高砂=が2日、厳戒態勢の中、ニッポン放送系ラジオ「ファン太郎のオールナイトニッポン」と、炭酸飲料「ファンタ」のCM撮影を行った。愛知県内のスタジオではスタッフが張り付き、報道陣を監視。収録後は屋内のガレージに迎えの車を入れ、出入りする姿すら撮影させない徹底ぶりだった。日本相撲協会の許可を得た、隠れる必要のない“副業”のはずだったが、スポンサー側が過剰に反応した格好だ。
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約3時間半の収録と打ち合わせが終わると、複数のスタッフがスタジオを飛び出した。ガレージのシャッターが開き、迎えの車が運び込まれる。閉め切られたガレージで朝青龍は車に乗り、直接は姿を見せずに出発。写真を撮ろうとする報道陣に対し、スタッフが「撮らないで下さい」と制止する厳戒態勢だった。
「ファン太郎のオールナイトニッポン」と銘打たれた今回の特番は、「ファンタ」を発売するスポンサーの日本コカ・コーラ社が番組枠を買い切って実現。同社製品のPRが中心の内容となるため、主役・朝青龍のイメージを守るために“鉄のカーテン”が引かれたとみられる。
同席した関係者によると、浴衣でスタジオ入りした朝青龍は撮影のためファン太郎として開襟シャツの衣装に着替え、番組内では共演者からも「ファン太郎さん」と呼ばれたという。約30分間の朝青龍の出演部分は無事に終わり、CM撮影も無事に終わった。
しかし、本業のけいこはこの日はお休み。「ファン太郎」の活動は、日本相撲協会と「けいこに支障がないこと」を条件に認められており、名古屋で収録されたのも「けいこへの支障」を考慮してのものだった。春場所前に東京でファッションショーに出演した際もけいこを休んでおり、支障がないとは言い難い。
2日続けてけいこを積んだいいペースが乱れる可能性もある。番組放送開始は日付上、名古屋場所初日の7月12日未明の1時。リスナーの人生相談に応じる番組内容だが、その直後に黒星を喫しては面目丸つぶれだ。残りのけいこ期間は、本業に打ち込むしかない。