米国で新幹線が走る時代が来るだろうか。訪米中のJR東海の葛西敬之会長がワシントンでラフード運輸長官に新幹線技術の導入を要請した。
オバマ大統領は、主要都市を結ぶ壮大な高速鉄道計画を打ち出したところだ。地球温暖化への関心が高まる中で、自動車や航空機に比べ環境に優しい鉄道輸送が評価されているのが追い風になる。
日本のセールスポイントは何といっても高い安全性である。鉄道網計画の中でもサンフランシスコ―ロサンゼルス間は地震多発地帯で、1964年の新幹線の創業以来、乗客の「死傷者ゼロ」の実績は、参入を狙う欧州勢に対しても勝ちめがあろう。
新幹線輸出は中国や台湾で実績もある。ブラジルは2014年にリオデジャネイロで開かれるサッカーのワールドカップに向け高速鉄道導入を目指している。人口が多い地域だけに新幹線の大量輸送システムが向いていよう。
鉄道技術が日本に伝わったのは、ペリー来航時に幕府に献上された蒸気機関車の模型が有名だ。走る模型に乗った武士たちの姿が絵になって残っている。それから150年余りで日本の技術が米国に渡るかもしれない。
政府も日米首脳会談で新幹線技術の採用を働きかけるなど支援を強めている。新幹線は日本が誇る技術だ。世界に広がってほしい。