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イラン改革派新聞、発行見合わせ 当局が声明掲載認めず

2009年7月1日19時47分

 【テヘラン=吉武祐】大統領選後の混乱を経てアフマディネジャド氏の再選が確定したイランで、改革派大手日刊紙「エテマデ・メッリ(国民の信頼)」が、1日付の発行を見合わせた。大統領選に立候補したキャルビ師が選挙結果を受け入れないとする声明を掲載予定だったが、当局が許可しなかった。政府側は異論を排除し、政治的言論を統制する姿勢を一段と強めた。

 同紙は国会議長を2期務めたキャルビ師が率いる同名の政党が発行し、部数は全国で約20万部。テヘランでは人気の大衆紙だ。

 同紙の本部事務所によると、1日午前1時半ごろ、文化イスラム指導省の職員が印刷所を訪れ、キャルビ師の声明を紙面から外すよう命令。再編集は時間的に不可能で、新聞は発行できなくなった。

 キャルビ師は1日、同党のウェブサイトで「次期アフマディネジャド政権には正統性がない。すべての改革派グループと連携し、闘いを続ける」との声明を発表した。

 同紙は、アフマディネジャド氏圧勝の開票結果を報じた6月14日付の紙面で、キャルビ師が前回の約500万票から、今回は無効票より少ない約34万票になったことに疑問を表明。また、改革派の街頭での抗議行動は無許可だったため、各紙が報道を自粛する中、あえて1面に大きく写真を掲載するなど、選挙結果への異議を前面に出していた。

 キャルビ師は最高指導者ハメネイ師らと同じく、79年のイスラム革命直後の激動期から国を率いた「革命第1世代」に属する。革命体制の功労者であるため、政府側も攻撃しにくい存在だった。

 だが、国政選挙を監督する護憲評議会による再選承認をもって問題に終止符を打つため、政府側は同紙への圧力を強めたとみられる。

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