小松島市営バスの運転士採用試験をめぐる汚職事件は24日、現職市議の木村文彦容疑者(49)=同市中郷町県前=の逮捕にまで発展した。試験問題を教えた見返りに現金を受け取ったとされる加重収賄の共犯容疑。「もし事実なら許し難い」「市民に申し訳ない」と同僚の市議たち。市の行政をチェックすべき市議が絡んだ事件だったのか。6月定例会会期中の市議会を激震が襲った。
木村容疑者の逮捕から1時間後、出口憲二郎議長が議長室で会見し、「市議が逮捕されたことは大変不名誉なことで、心からおわびする」と謝罪。「少しでも早く議会の信頼を取り戻したい」と沈痛な表情を浮かべた。
この日は定例会閉会の前日。通常なら静かな休会日だが、逮捕の知らせを聞いた市議が議会に次々と駆け付け、次第に騒々しく。午後4時、木村容疑者を除く全18市議が出席し、緊急の全員協議会が開かれた。
冒頭、出口議長が事件の概要を説明。木村容疑者が逮捕前に「もし自分が逮捕されたら、議員の皆さんに、自分が事件に無関係であることを説明してほしい」と連絡してきたことを報告した。
この後、議員政治倫理条例に基づき、議員以外の市民や有識者でつくる審査会(7人以内)を設け、木村容疑者の処分を検討する方針を決めた。条例は3月定例会で制定したばかり。「地位を利用していかなる金品も授受しないこと」などの倫理基準を定めている。
ある市議は「倫理を通り越して刑事事件にまでなってしまった」と驚きながら、「臨時職員の弱みにつけ込み、犯行に及んだのだとしたら大変遺憾だし許せない」と怒りをあらわにした。
一方、「同僚だけに無実を信じたい」との声も。木村容疑者と同じ会派の市議は「よく勉強していたし熱心な議員だった。信用していたのに・・・」と肩を落とした。
木村容疑者の逮捕後の午後1時半から約1時間半にわたり、県警の捜査員約10人が議会事務局や議員控室を捜索。2004年度以降の議事録や会議録、委員会名簿など段ボール5箱分の資料を押収した。【写真説明】木村容疑者の逮捕を受けて開かれた全員協議会=24日午後4時すぎ、小松島市議会委員会室