今、ピスコをウーロン茶で割って、飲んでいます。酔いにまかせて好きなこと書きます。
こういうの、ぜったいになくしちゃダメだよ。
いわゆるニューカマーの抱えている問題っていうのはさ、強制送還にせよ、指紋採取にせよ、法律上は、かなりの部分、戦後の在日コリアンが直面してきた問題と重なっている。
そして、今、ニューカマーが、きびしい戦いを強いられている理由のひとつは、在日コリアンが、闘争によって勝ち取ってきた成果っていうのが、ニューカマーに承継されていないっていうのがあるわけさ。
オレ、今、18歳のニューカマー・ビザなし韓国人の女の子の事件をしている。彼女、母はいちおういるけど、家庭環境が複雑で、子どもだけの事件として処理せざるをえない。通常、子どもだけっていうと、売春で稼いでいる人身売買サバイバーの事件は別にして(彼女らも年齢だけみると、いちおう子ども。まあこっちも子ども扱いはしていないけどさ。)、生活がそもそも成り立たなくって、事件として進めることができない。でも、彼女の場合は、在日コリアンの人権団体が、生活面をサポートしてくれるので、なんとか戦える。
在日コリアンとニューカマーは、社会的背景がまるで違うし、くだんの彼女のように同国籍人同士の同胞愛があるような場合は別にして、当事者同士に連帯感もないから、承継っていっても難しいんだけどさ、やっぱり、権利のための闘争っていうのは、歴史を離れては成立しないよ、実践レベルでは。
だから、このように行政にカネを出させた実績が、形として残っている拠点は、ぜったいになくしちゃダメ。一度なくすと、また作るのは、ほとんど不可能といってよいくらい難しいし、むしろ、これを発展して、在日コリアンから、ニューカマーへと続く道しるべにしなきゃ。
岸さん、オレの本、紹介してくれてありがとうございます。そりゃ泣けますよ。だって、依頼者も泣いて、弁護士も泣いているんだもん。週に誰も泣かないっていうのは、オレの事務所じゃほとんどないです。サラリーマンやってたころさ、大のおとなが、こんなに泣く職場があるって、想像してなかった。
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ところで、この連休は、株主総会対策でつぶれます。
景気悪くなったでしょ、不動産の証券化なんてしゃれた仕事はすっかり消滅して、いまやオレの稼ぎは、破綻した中小デベロッパー(俗にいう「地上げ屋」)向けの融資の回収と、やりかけの地上げの後始末だから、今、メチャクチャな状態なわけですよ。で、お客さんも百戦錬磨というか海千山千というか、一筋縄ではいかない人ばかりだからさ、おとなしく破綻する人は少なくって、みなさん、物件に時限爆弾し掛けたり、倒れ際に足引っかけようとしたり(要するに、揺さぶりかけて「おとなしく死んでほしければカネ払え」といいたいわけです。)、もう大変です。連休中は、融資や不動産取引の簿冊をひっくり返して、おかしな契約書を探し出したり、怪文書に反論したり、もうてんやわんや。今年は、その会社にとって上場以後、初めて不況で迎える株主総会だから、まさに正念場。お世話になっている会社だし、まあ、これやらんと、外国人の事件なんてできないからねぇ。
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コロンビアではバジェナート伝説フェスティバル開催。といっても、 記念大会だった昨年と違って、今年のエントリーしている人のうちでは、ホルヘ・セレドンのアコーディオンのジミー・サンブラーノ、 ルイフェル・クエージョの相棒のマヌエル・フリアン、リサンドロ・メサの息子ぐらいしか知らないので、現時点で紹介することはありません。そのかわり、昨年の大会から、Orangel“Pangue”Maestre(オランヘル・パンゲ・マエストレ)が、その辺で弾いているビデオを紹介しましょう。
原作の邦訳もでていないので、日本で公開されるかどうかはわかりませんが、現代コロンビアを代表する小説家・Jorge Franco(ホルヘ・フランコ)の"Paraíso Travel(パライソ・トラベル)が映画化されました。
「ニューヨーク?」ボクは彼女にききかえした。
「そう、ニューヨークよ」
「なんでそんな遠いところに?」
「だってあっちにあるんだもん。」レイナはぼくにいった。
そのアイディアは彼女のものだった。そう、ぼくらの間では、いつだって、アイディアは彼女のもの。もちろん、ぼくだって何度かアイディアを出したことはあるけれども、実行するかしないかを決めるのはいつだってレイナだった。彼女がぼくに何かいうとき、それはすでに決められていたのだ。彼女はぼくに賛成しているかどうかなんて尋ねようともしなかった。
「二人で行くのよ」
…「ここにはなんにもない、わたしたちなんにもしていない、これからもなんにもできないわ」
「でも、遠すぎるよ。それに、ぼくらはあっちのこと何もしらないんだよ。」ぼくは彼女にいった。レイーナはぼくの手をぎゅっと握ると、それをぼくの口に強く押しつけた。ぼくは、というと、彼女の目というよりは、たがいに色の違うガラス玉のような二つの瞳をみていた。それは、ぼくの目の奥にあるおびえの感情をさがしまわっているかように、めまぐるしく動いていた。
…「それともあなたは、あなたのママや、パパや、わたしのパパみたいに、ここにいたままチョーつまんない人生送りたいの?」(原作より)
♪ レイナ、きみはその色の違う二つの瞳ですっかりぼくを虜にしてしまったのさ
ぼくは今ここにいてすごく怖いんだ
きみには、ちっともわからないと思うけど
ねえ、思い出してよ、思い出してよ、頼むから思い出してよ
ぼくらはいっしょに行って、同じ方角をめざして歩いてきたんじゃないか
お願いだ この世界で、ぼくをひとりぼっちにしないでくれ
パライソもきみの愛なしでは苦い味がするのだから…
原作のイメージぴったり、男はヘタレ、女は強烈。何のあてもないまま到着したニューヨークで途方にくれる男の子に、彼女がひとこと、“¿ Qué usted creía, que ibamos a llegar a un Hilton, OK ? (あんたさ、なに考えてたの? 私たち、ヒルトンかどっかに泊まるとでも思ってたの?(トレーラーの2.45くらい)”。でも、男の子もちゃんとドラマの中では成長します。
フアさまも、“Paraíso Travel”好きみたい。 おさいさん、みたいでしょ?!
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