TEXT:長澤智典
風の結晶を求め、一路ナッシュビルへ。。。
――2年半越しで完成した1stアルバム『風の結晶』。このアルバムを完成させるに当たり、savage genius はナッシュビルへ足を運びました。その理由からまずは聴かせてください。
Takumi:ディレクターの野崎さんとスタジオで話してると、いつも出てくるのが「何時か機会があったらナッシュビルのスタジオで2人にレコーディング体験をさせてみたい。絶対に良い刺激になるから」という言葉だったんです。僕らも話が出るたびに、「何時か行きたいなぁ」と言葉を返してたら、アルバム製作をきっかけに足を運ぶ機会を得ることが出来たよう、一番のきっかけはディレクターの推薦からでした。
――savage genius と言えば、”性急/朗らか/幻想的な世界観”と描く表情は様々なれど、かならずデジタル・スタイルで勝負してくる人たちという印象も強いのですが。ナッシュビルでは生音での収録。しかもペダルスティールギターなど、南部音楽独特な楽器も用いてレコーディングしてましたよね。
ああ:確かにこれまで発表してきた楽曲へは、生音のみという表情はありませんでしたけど、もともと生音で表現するスタイルもsavage genius の中にはあったものなので、すごく自然な形なんですよ。それよりも私たちの中で何が一番大切って、曲調や演奏スタイルではなく、あくまでも”良い歌を届けたい”ってこと。それを伝えるうえなら、あらゆる表現手段を取っていくことも、私たち2人は厭わないので…。
Takumi:savage genius の場合、その曲ごとにコンセプトを建てながらいろいろ演っていくのが好きだからね。
ああ:そう。だから今回のアルバムにしても、和食・洋食・中華と何でも入ってるんだけど、そのすべてが美味しい幕の内弁当のようにもなってるわけだし。
――確かに、2年半築きあげてきた音楽性の集大成的な作品ですからね。
ああ:せっかくアルバムを出すんだから、今まで魅せたことのないsavage genius の表情も出したかったという気持ちも強かったんですよ。それが結果的に、先にも言った幕の内弁当のような作品へ仕上がった理由でもあるんです。。。
savage genius という明確な人格が芯にある。。。
――今回のアルバムは先にタイトルを決め、そこから製作へ入ったという話も伺いました。
ああ:まず始めに、『風の結晶』というタイトルを決めました。理由は、”今まで自分たちが感じてきた想いや培ってきた蓄積を一つに結晶化させようと思った”ことから。今回ナッシュビルで完成させた『into the Sky〜風の結晶〜』や『 butterfly』も、先に『風の結晶』という言葉が無かったら導き出されなかった楽曲だったし。もっと言うならあの2曲、最初はタイトルへも繋がってくるようリラックスして聴ける歌にしようと思ってたんだけど。作り始めたらやたら熱が入ってしまい、あれだけ濃い作品になってしまったんです。でも結果的には、アルバムへも強い印象を与えゆく楽曲になりましたからね。
――正直アルバムを聴く前までは、デジタルなスタイルとナッシュビル録音による生音の世界観がどのように重なりあうのか不安を覚えてたんですが。そんな心配は一切無用。アルバムの中では2年半の中で培ってきたsavage genius のサウンド・ワールドが新旧綺麗に溶け合ってますよね。それがまた、嬉しい驚きでした。
ああ:私たちも、「シングルだけの印象を持ってる人らが聴いたら、これだけ幅広い表情を出してしまってる以上ビックリするんじゃないか」と思ってたし。「このラインナップで大丈夫か?」と言うこともいろいろ話したんですけど。でも最終的には「これも私たちの持ってる部分だから、すべて観てもらおう」「今の私たちは、こういう色とりどりな楽曲を演っていきたい」という姿勢を出していこうということで製作していったんですよ。実際出来上がった作品は、緩急いろんな表情は出たけど、言われたよう違和感なくすべてが一つに溶け合ってた。それが、ホント嬉しかったんです。
Takumi:きっとそうなったのも、savage genius の軸にあるのは”歌物”であり、”ああの歌声”だからなんだと思う。
ああ:それは,Takumiの作ってくる楽曲も一緒。アップ/スロー問わず、Takumiの作ってくる楽曲のメロディにはかならず切なさがあるし、私はそのメロディをすっごく愛してる。だからこそ、どんな曲調だろうと迷いなく歌っていけるし、それが結果的に明確な色を出す要因にもなってる。つまり、どんなドレスを着ようが、たとえ着物を着てようと、savage genius という人格がしっかり存在しているからこそ、どんな装いだろうが芯はぶれないんだと思います。
感動の涙も…まさにドキュメンタリーな映像集
――アルバム『風の結晶』の初回限定盤には、ナッシュビルでのレコーディング風景を中心に据えつつ、『祈りの詩』のPVやメイキング風景なども収録した、60分に及ぶ DVDが付いてきます。これを観ると2人の奮闘ぶりや、作品へ込めた熱い想いの理由も明瞭に見えてきますよね。Takumi先生の、英語でやり取りしてゆく様とかも含め(笑)
Takumi:現場には通訳の方が居たんですけど、僕の場合は居なくても大丈夫なほど、そうとうなしゃべりっぷりでディレクションしてましたからね。
ああ:なんか、みずから大先生っぷりを披露してますよ、彼は(笑)
Takumi:アメリカは、ホント自由の国ですし。こんなにも僕へ適用した国はないですね。
ああ:そういうTakumi先生は、今回がアメリカ初上陸でしたから(笑)
――個人的に観てて一番グッと来たのが、完成したアルバムをスタジオで一気に通して聴いてたとき。イントロの時点でああさんは泣き始め、ズーッと最後まで泣きっぱなしでしたよね。
ああ:全曲を通して聴く前に、野崎プロデューサーが私たち2人へ、直筆の手紙を渡してくださったんですよ。それを読んだ瞬間2年間の中で感じてきたいろんな想いや、みなさんに対する感謝の気持ちがブワーッと湧き出てきて。『into the Sky〜風の結晶〜』とか明るい曲調だから普通だったら泣かないのに、あの時点で涙がとまらなかったですからね。
――他にもいろんな心揺さぶるシーンが、映像として収録されてますからね。
ああ:そう、私が一生懸命歌ってる裏で、Takumiがタンバリンを叩きながら遊んでる風景だったり。Takumiのナイスなイングリッシュ講座や、生歌演奏シーンも入ってるし。『祈りの詩』のPVメイキングでも、30cmくらいしか幅のないゴツゴツとした岩の上にブーツで立って歌ってるから、本気で崖から落ちそうになったり。しかも撮影が2月だったから、「なんか涼しいね」とみんなで強がりを言ってたり(笑)。本当に密着ドキュメンタリーという言葉が相応しい映像集になってると思います。
たくさんの人の心へ届けたい、大切な結晶たち
――このアルバム『風の結晶』、お二人にとってどんな意味を持ったアルバムになったと思います?
ああ:savage genius として歩んできた2年半の歩みを詰め込みつつ、次へ進むために必要なものを得たアルバムだと思います。
Takumi:まさに、想いの結晶です。
ああ:とくにナッシュビルでレコーディング経験をして以降、何か吹っ切れたものがあるというか。今はすごく、音楽に対して純粋な気持ちで向かえているんです。
――今後もsavage genius は、多彩な表情を楽曲へ映し出していくんでしょうか?
Takumi:サウンド/アレンジ面でのいろんなこだわりはありますけど、やっぱり2人とも一番に伝えたいのが”歌”なんですよ。だから今後も、いろんなジャンルに挑戦していく姿勢は変わらないと思います。
ああ:それよりもまずは、この『風の結晶』を通し、私たちが詰め込んだいろんな音楽の結晶を、風(アルバム)に乗せて、みんなの心へ運んでいきたいですね。その結晶たちが、どんな風に広がっていくのかも楽しみですし。
――じゃあ最後にTakumiさん、得意の英語でアルバム『風の結晶』の魅力を表現してください。
Takumi:ビューティフォ〜!!
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