2009年7月2日12時39分
衣料雑貨店で下市中の制服を試着させてもらい、喜ぶ谷口明花さん(右)と母親の美保さん=6月26日午後、奈良県下市町、高橋友佳理撮影
車いすで生活を送る谷口明花(めいか)さん(12)=奈良県下市(しもいち)町=が、希望した町立下市中学校への進学を拒否された問題で、町と町教育委員会は、仮の入学許可を出すよう義務づけた奈良地裁の決定を不服として、大阪高裁に即時抗告した。1日付。高裁決定が出るまでは地裁決定が有効であるため、町側は2日付で就学通知書を谷口さん側に手渡し、仮入学を認めた。明花さんは3日に初登校する。
下市町教委の堀光博教育長は「地裁決定には納得できない部分もあり、抗告した。仮入学は認めるが、訴訟はまた別の問題」と話し、高裁で町側の主張を認める逆転決定が出れば入学を取り消す可能性を示唆した。
明花さんの父親の公務員、正昭さん(51)は「非常に残念。できることなら抗告して欲しくなかった」としたうえで、「明花が一日も早く安心して通えるようにしてほしい」と、早期決着への望みを語った。
この問題をめぐっては、奈良県の荒井正吾知事が1日の定例会見で、地裁の決定を「大変すばらしい、賛同できる判断」と評価。町教委に明花さんの早期受け入れを求め、講師の派遣などで支援する考えを示していた。
明花さんは、地元の町立小学校を今春卒業したが、町教委は障害などに見合った設備がないことなどを理由に下市中への入学を拒否。明花さんと両親は4月下旬、町と町教委に入学許可を求めて奈良地裁に提訴。地裁は6月26日、判決が出るまでの措置として、町教委などに仮に入学を認めるよう決定を出した。