2009都議選
7月3日告示の都議選が迫った。首都が選挙一色に染まる直前の動きを探った
【科学】挙動不審?インキの流れ再現 海洋機構などソフト開発 地球内部の動きに応用2009年6月30日 海洋研究開発機構と大日本印刷の子会社「ザ・インクテック」(東京都)は、インキの複雑な動きを再現するシミュレーションソフトを開発した。インキは液体でも固体でもない流体で、海洋機構は「地球の岩石と性質が似ており、地殻やマントルなど地球内部のシミュレーションにも応用できる」としている。 溶媒に顔料を混ぜて作る印刷インキは一定以上の力が加わると流れ出し、それ以下なら紙の上で固まる。複雑な動きを予測する理論やモデルがなかったため、インキの製品開発は試行錯誤的な実験に頼らざるを得ず、コストなどが課題になっていた。 このため同社ではシミュレーション技術の導入を検討。しかし、インキと似た性質を持つ流体の研究はなかなか見つからず、さまざまな専門家に相談した末に岩石を研究する海洋機構に行き着いた。 地球の岩石は表面の地殻では固いが、マントル層では対流しており液体のように振る舞う。「時間と空間のスケールは違うが、インキと地球の岩石の動きには共通点がある」とし、二〇〇五年から共同研究が始まった。 インキを粒子の集まりととらえ、それぞれがばねで結ばれて「鎖」になっているとのモデルを考案。印刷機のローラー間で引きちぎれるように動く「糸引き」というインキ独特の現象の再現に成功した。この動きは、これまでの流体シミュレーション技術では表現できなかった。 今回、開発したソフトは試作版との位置付け。一一年春までに、より複雑なインキの動きを再現できるソフトの完成を目指す。挙動が予測可能になれば汚れなどのトラブルを防ぐことができ、印刷物の品質向上につながるという。 成果は地球内部のほか、血流や細胞液の動き、溶岩流、コンクリート流動などにも応用でき、海洋機構は別の機関などとも共同研究を進めていく方針。阪口秀グループリーダーは「インキと地球という接点のない分野をそれぞれ扱う研究機関と企業が偶然出合った。物質の流動と変形の研究に新しい方向性を与えながら共同研究を進めていくことは、日本の科学と産業にとって非常に重要だ」と話している。
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