鶴巻和哉監督独白・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」
「名字の謎、僕もしらない」
(AERA 2009年7月6日号掲載) 2009年7月2日(木)配信
「答えは庵野さんの中」
名前といえばもう一つ、惣流・アスカ・ラングレーについても公開前から様々な憶測を呼んだ。旧海軍の航空母艦「蒼龍」からとったといわれる名字が、駆逐艦からの引用と推測される「式波」に変更されたのだ。
「よくわからないです、僕も。変えなきゃいけなかった理由はあまりないんですよね。庵野さんの中にはあるんでしょうけど」
エヴァは「別物」になってしまうのか。不安はある。13年前と同じように熱狂できるのか。見る私たちも年をとった。追い詰められ「逃げちゃダメだ」と繰り返す14歳のシンジ君に自然と自分を重ねたのに、あれから10年以上経ったいま、憧れの存在だった加持リョウジや葛城ミサトに親近感がわくファンも多いだろう。
「いまやシンジに直接感情移入して描くより、ミサトや加持やリツコに気持ちが入っちゃう」
庵野総監督もそう話しているという。とはいえ主人公はあくまでシンジ。シンジが「君にしかできないこと」を探し、それを見つけ、戦う基本は変わらない(はず)。
「新しい層に向けて作るというのが元々の総集編の意図なんです。なんですけど、それだけではなく、かつて熱狂した人たちがもう一度見てもおもしろいものにしたい。単純に懐かしいな、ではなくて、10年前に見ていた人たちにしかわからないおもしろさも用意したいな、と」
編集部 太田匡彦
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