2009年7月2日0時3分
京都の人は、普段の暮らしにはあまりお金をかけない。しかし、決してケチではない。行事や付き合いなどの「ハレ」にはそれなりにお金を使う。そのために、日常の生活「ケ」は質素に過ごす。無駄のない暮らしぶりを京都の人は始末がいいと褒めるのだ、と酒井順子氏は、著書「都と京」の中で語っている。
今、不況のなか日本の生活者は、「ケ」の生活に苦しんでいる。日々、始末がいい暮らしに挑んでいる。定額給付金や高速道路の週末の通行料値下げなどの景気対策は、生活者にとって、一時的な不況ストレスの解消にはなったが、「ケ」の暮らしの救済にはなっていない。
そんななか、生活者の始末のいい暮らしを支援するサービスが民間企業でスタートした。割れた煎餅(せんべい)や破れた海苔(のり)など訳あり商品を通常の3〜5割値下げしてプライベートブランドとして一部のスーパーが売り出した。求められていない品質やサービスを削除し、コストを下げ、低価格を実現している。「ケ」の暮らしでは、割れていようが、破れていようが、味や品質がよければ構わないという生活者心理をとらえた結果だ。日常食べるために、曲がったキュウリを朝市などで生産者から直(じか)に安く買っていく心理と同じである。
一方、一部のスーパーやデパートは、古くなったフライパンや家電製品の下取りを始めた。始末したくてもお金がかかり、場所をとっていた物を無料で引き取ってくれ、しかも、値引きや商品券のサービスがあるという二重のお得感が生活者の心を捕まえている。激しい競争の流通業界を中心に、生活者の味方を訴求する企業のブランド戦略は、不況のなかで本番を迎えている。(深呼吸)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。