現在第4話まで配信中だが、それぞれが独立した物語になっている。各話に仕込まれた現代社会への嘆きがプレイする者をいささかネガティブ思考にさせるのは、その他のRPGと大きく趣向が異なるからだ。
しかし単なる毒吐き物語ではなく、そこに作者なりの疑問と答え、そしてほのかに温かみを感じるところに作品創りの上手さが伺える。アマチュアながらも素質あるゲームクリエイターの片鱗を見せてくれる、神無月サスケ氏が生み出す各話の概要を見ていただきたい。
第1話のテーマは”いじめ”。口下手で気弱で、クラスの仲に溶け込むことの苦手な主人公。
第2話は”不登校”。学校に馴染めない女子中学生が主人公。
第3話はホームレスや騒音おばさん、ゴミ屋敷などが題材だったが、α版をプレイ後、編集部からの大きな修正をお願いするに至ったという、良い意味での問題作。実際に配信されたバージョンはかなり大人しい表現になってはいるが、いつか未修正バージョンを世に出してみたいとも思える。
第4話のテーマは明確には語られていないが”親子”だと思える。保育園児のちかこちゃんが主人公。彼女自身に問題はないのだが、お父さんが会社の不始末の責任を被らされたり、お母さんが宗教の幹部だったりと、オフィシャル配信としてとてもギリギリラインな物語。
このように何度か編集者らの顔を青くさせるものの、4話までプレイしてみると、作者の熱い魂を感じずにはいられない。彼の作品を初めてプレイするとマイナスイメージを受ける方も多いだろうが、RPGとしてもバランス良く作られているため、ぜひとも1話から4話まですべてプレイしていただきたい。そうすれば、きっと「ぼくのすむまち」というシリーズの良さが見えてくるはずだ。
他の作品と一線を画するRPG。今だからこそプレイをお勧めしたい。
※神無月サスケ…コンテストパークにて、「Moon Whistle」で金賞を受賞。 |