韓国で最高額の五万ウォン紙幣が登場し、肖像画に初めて女性が使われた。十六世紀の画家、申師任堂(シンサイムダン)。
男尊女卑が激しかった李朝時代に、申師任堂は学問に親しみ詩文、書画を得意とし多くの作品を残した。韓国では良妻賢母の鑑(かがみ)とされ「教育ママの元祖」ともいわれる。
韓国銀行は「家庭を大切にしながら、自立し、学芸の道を歩んだ韓国女性の先駆者だ」と選定理由を説明する。
韓国の紙幣は計四種類になったが、肖像画は千ウォン、五千ウォンがともに李朝時代の儒学者、一万ウォンはハングルの基になる訓民正音を制定した李朝の王様。五万ウォン札も含め、すべて文化で業績を挙げた人たちだ。
実現はしなかったが十万ウォン札の発行計画があり、肖像画には独立運動家、金九(キムグ)が候補に挙がった。米国、ソ連の影響力を排除して民族統一を進めようとした愛国者として尊敬されている、ただ、独立のために皇族など日本要人の暗殺を指揮した事実もあるから、お札の顔にならず、日本人としては安堵(あんど)した。
以前、日本の千円札の顔は伊藤博文だった。初代の首相だが、韓国統監として植民地支配の道を開いた人物だ。千円札を見るたびに嫌な思いをしたと回想する韓国人もいる。
歴史の因縁が深い日韓両国に限っては、紙幣の肖像画は政治家ではなく、文化人の方が無難な選択だ。
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