浮かんでは沈み、また浮かんでは沈む繰り返し。それがここにきて再び浮かんできた。夏季に時計の針を進め、明るい時間を活用するサマータイム制度である。
日韓首脳会談後の記者会見で、麻生太郎首相が日韓共同実施に積極的な姿勢を表明した。韓国政府は2月、李明博大統領の意向を受け、導入に向け検討している。日韓両国に時差はなく、一緒にする方が好都合に違いない。両国が協調すれば、導入機運が盛り上がるかもしれない。
とはいえ、これまでの国会での経緯をみると懐疑的にならざるを得ない。導入を目指す超党派の議員連盟が、法案をまとめたのは4年前。しかし、郵政解散の混乱で提出に至らなかった。
あらためて動きが出たのが昨年7月の北海道洞爺湖サミットの前だ。地球温暖化対策になるとして当時の福田康夫首相も賛意を示した。ところが、サミットが終わり、福田首相が退陣すると立ち消えとなった。
2回続けて大きな政局にもまれてきた。今回も解散・総選挙が迫っている。「省エネになる」という推進論に対し、「労働時間が長くなる」「生活のリズムが狂う」などの慎重論も根強い。韓国でも労組が反対しており、どうなることか。
きょうから7月。暑さしのぎに早寝早起きなど自分流の“夏時間”を設けてみるのも手か。