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問われる社会的責任 富士SWのF1開催撤退

2009.7.1 20:20

 FSWのF1開催からの撤退は、親会社であるトヨタの、厳しい経営状況下での判断として尊重すべきではあろう。だが一方、F1という大きな国際イベント開催への社会的責任を、どうとらえているのか、首をかしげざるを得ない。

 トヨタは巨額資金を投入してFSWを改修し、日本GPを招いた。それまで20年間に渡りF1を開催し、高く評価されていた鈴鹿から開催権が移った状況は、ファンの目に「カネの力で奪い取った」と映った。さらに2007年の開催初年度は観客移送バスの運行が混乱し、多くの観客がレースに間に合わない、帰れないというトラブルが発生。訴訟になるなど信頼は損なわれた。

 昨年の大会では約20億円かけて施設を整備し、入場客数も絞ってスムーズな運営を実現。信頼回復の緒に就いたが、ここで投げ出せば再びファンの目は厳しくなる。

 F1開催でサーキット側の収入はチケット代程度。立地条件の悪さから観客の足を用意せねばならないFSWが、入場客数を絞れば収支が厳しくなるのは明白だ。今になって「見返りが少ない」では、見通しの甘さも指摘されよう。

 今般のF1分裂騒動でマックス・モズレー国際自動車連盟会長は「自分の都合で好き勝手に出入りする」と自動車メーカーを非難した。その実例を、昨年12月にF1撤退を決めたホンダに続き、またも日本メーカーが提供することになってしまった。(只木信昭)

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