大相撲の横綱朝青龍(28)=高砂=が30日、名古屋場所(7月12日初日、愛知県体育館)へ向けて始動し、朝赤龍との三番げいこを14番こなした。上半身は太め残りなことなどを師匠の高砂親方(元大関朝潮)は不安視。同日午後に行われた力士会では優勝を狙う発言も飛び出したが、完調までには“もうひと叩き”必要な状況だ。
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白鵬、日馬富士らライバルが本格的なけいこを見送る中、朝青龍は精力的に体を動かした。最初の一番は朝赤龍に押し出されたが、それからは13連勝。ひじを痛めている左腕での上手投げを繰り出すなど体調を確かめながら汗を流した。最後はとったりで相手を転がして締めくくった。
一見すれば順風満帆に見えるが、上半身は太め残りで、ふっくらした印象だった。見守った高砂親方は「ほとんどけいこしていなかったから。私は千里眼じゃないから(名古屋場所出場は)分からない」と不安視した。朝青龍はテーピングを巻いた両手首を気にする場面もあった。
けいこ後は取材を拒否。午後に行われた力士会後に会見に応じた。昨年は途中休場に追い込まれたこともあり「1年ぶりの名古屋で千秋楽まで無事に終えたい」とまずは殊勝な受け答え。太め残りの体については「いつも通り」と質問を受け流した。
引退危機をはね返した今年の初場所以来となる優勝にも意欲的。「(横綱に)上はないので、優勝を目指してやるしかない」とV宣言も飛び出した。“弟分”としてかわいがる日馬富士の綱とりへも「甘くはないでしょう」と先輩としての意地を見せた。
時折、笑顔も見せていたが、ひとしきり質問に答えると「もういいか?」と会見を打ち切り。テレビの撮影が終わると目の前の報道陣を、すそ払いのように足で払いのけながら「どけっ!」とすごんだ。らしさは相変わらずの朝青龍。7月12日の初日までに、コンディションをどれだけ取り戻せるかが重要だ。