事件・事故
万引容疑で逮捕したら… 「58歳」男に戸籍なし
万引の容疑で垂水署に逮捕された男には、住民票も戸籍もなかった。捜査員が調べても、身分を確認できる公的なものは一切見当たらず、男は「小学生のころに家を出てからずっと一人で暮らしてきた。不自由を感じたことはない」と供述。結局、申告した名前も、58歳という年齢も、国籍も判然としないまま25日に釈放された。「こんな容疑者は初めて」と驚く捜査員。男の語った半生とは…(小川 晶)
男は神戸市垂水区のホームセンターで、登山用具4点を盗んだとして、今月14日、垂水署に逮捕された。初犯だった。
男は「金がもったいなかったから」と容疑を認めたが、名乗った日本名が戸籍などに見当たらない。親が出生届を出していなかったためとみられるが、捜査員はスパイの疑いもあるとみて事情を聴取した。
「物心ついたときは、京都のおばに育てられていた」。男が、これまでの半生を話し始めた。
両親は、第2次世界大戦中、朝鮮半島から日本に連行され、亡くなった。自分の名前はおばから教えられたものという。
京都市内の小学校に入学したが、3年生のときに家出。学校にも行かず、山での自給自足の生活をへて、25歳から全国を放浪し始めたという。日雇い労働をしながら、北は秋田まで全国をわたり歩いた。20年ほど前、神戸市垂水区のアパートに落ち着いた。体も強く、病院に行ったのはけがをした際の1度だけ。保険証がないため、全額負担して支払ったという。
身分を確かめるために、捜査員は生まれ育ったとされる京都市内を訪ね歩いた。学校には記録が残っておらず、家があったという場所にはビルが建っていた。
おばから教わったという韓国・朝鮮語を話せるなど、供述を裏付ける点も。「うそをついているようでもないが、正しいかどうか、全く分からない」と捜査員。それ以上確認するすべがなく、拘置期限の25日、神戸地検が「拘置の必要なし」として男は釈放された。
神戸市区政振興課によると、出生届を提出すれば、男の戸籍登録は可能という。だが、日本国籍であることが前提で、出生証明なども必要。そもそも国籍も不明で出生証明もなく、男が戸籍を取得できるかどうかは不透明という。
(6/26 10:33)
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