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【追跡取材】「韓国の同世代と思い出共有できず」

早期留学生らの悩み

 イ・ジヨンさん(24)は高校1年だった2000年、米国へ留学した。名門州立大学、さらに大学院を卒業して韓国へ戻り、外国人学校の教師になった。イさんは勉学だけでなく、さまざまなボランティア活動にも打ち込むことができた留学生活に「満足している」と語ったが、一方で「夜間の自主学習や修能試験(大学修学能力試験=日本の大学入試センター試験に相当)を経験できなかったことを、心残りに思うことが時々ある」と話した。同年代の人たちと共有できる経験をしていないというわけだ。

 「学校で夜遅くまで友だちと一緒に勉強し、そして緊張しながら修能試験の会場に入ったとき、、一体どんな気持ちだったのか気になる。もちろん、その時期に大変な思いをした韓国の友だちは、そんなわたしのことを不思議に思うだろう。しかし、当時のことを楽しそうに話す様子を見ていると、そうした思い出を共有できなかったことが残念にも感じられる」

 本紙が取材した、早期留学(高校生以下で海外へ留学)の第1世代の圧倒的多数(91%)が、留学生活が自分にとって満足するものだった、と答えた。では、損したことはまったくなかったのだろうか。調査対象の留学経験者たちは「早期留学することで失ったもの」として「思い出」を挙げた。米国で自由な学生生活を送ったものの、韓国に戻ったとき、仲間と共有できる思い出がないことに気付かされたというわけだ。

 中学校から大学まで米国で過ごし、韓国の大企業に就職したパク・ヒョンジュンさん(25)も、「職場の同僚たちが何気なく話す“MT(新入生歓迎のために行われる小旅行)”“ミーティング(日本でいう合コン)”“大学祭”といった大学時代の思い出が、米国で大学生活を送ったわたしには別世界の話でしかない」と話した。

 韓国社会にも米国社会にも完全に溶け込めず、疎外感を感じたという人もいた。「アイビー・リーグ(米国東部の名門私立大8校)」に属する大学を卒業後、外資系企業の韓国支社に就職したAさん(23)は「留学生活を送っている間、自分のアイデンティティーを探すために苦労した。韓国に戻った今も、“韓国と米国の狭間で、わたしは一体どっちに近いのだろうか”と考えることがある」と語った。

 留学生たちが経験した「アイデンティティーの混乱」は、言葉の問題とも結び付く。米国で経済学を学び、韓国の会計法人に就職したBさん(29)は「日常的な業務をこなす上で、英語も韓国語も意思疎通の問題はないが、胸の内を語ろうとしたとき、どちらの言語もうまく話せないことがある。多くの早期留学生は同じような経験をしているだろう」と話した。

廉康洙(ヨム・ガンス)記者

イ・ソクホ記者

パク・スンヒョク記者

チェ・ミンギ記者

ハン・ギョンジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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