レポーター：K.Y
私自身SQL Serverはもとより、データベースを仕事で扱うようになったのはほんの4ヶ月ほど前で、おぼろげながらSQL Serverの全体像がつかめ、簡単なSQL文が打てるくらいの状態でした。そのような中で、外部で何か有効な勉強会がないかと探していたところで見つけたのが今回のセミナーでした。ちょうど管理初心者向けの内容ということもあり、私にはうってつけの研修でした。 会場の新丸コンファレンススクエアには定員の150名に近い方々が出席されており、私のような初心者の方も多くいらっしゃったようです。 セミナーは以下の2部構成でした。
【 第1部の感想 】 「SQL Server 管理初心者のためのバックアップ＆リカバリ戦略入門」 講師 堀川 明 氏 （PASSJ ビギナー分科会ボードリーダー）
PASSJのボードリーダーをつとめられている堀川氏による講義で、SQL Serverを管理運用していく上で、障害に備えたバックアップやリカバリの運用についての内容でした。タイトルに「戦略」とあるように、実際の設定手順よりも概念的な部分が中心で、また「入門」であるがためにそれほど突っ込んだ内容でもなく概略的な内容でした。具体的には、復旧モデルの設定によるトランザクションログの扱い方、データベースのバックアップの種類、リストア手順、データベースのバックアップ計画、などが主な内容でした。 他にもシステム構築時にミラーリング等を組んでハード的に信頼性を高めておき、障害発生時にソフト面で復旧を行う前にハード面からの復旧を試みるほうがよいといったことや、データファイルのバックアップとログバックアップを別々のメディアに収めたほうがよいなど、経験を踏まえたバックアップ運用上のアドバイスがありました。これらのアドバイスは個々に参考になったのはもちろんですが、それ以上にシステムをトータルに運用していく上では「高い信頼性を得る」という大きな目的があり、バックアップはそのうちのひとつの手段である、という認識に立っているものだということを感じさせられました。 今回は初心者向けでさらに時間も限られているということもあり、やや内容が小出し気味のところがあったので、機会があればもっと深く掘り下げてほしいという思いもありました。 講義の後のQ&Aの時間には参加者から盛んに質問が投げかけられ、バックアップやリカバリが管理者の方々にとって非常に関心の高い分野であることを改めて感じさせられました。
【 第2部の感想 】 「バックアップを "らく" しよう」 講師 石井 明 氏 （ベリタスソフトウェア株式会社 技術本部 フィールドサポート部 シニアシステムズエンジニア）
ベリタスソフトウェアの石井氏による講義でした。内容は、SQL Serverを含めシステム全体のバックアップ・リカバリの管理工数を減らして"らく"に運用する方法をとしてVERITAS Backup Execの各機能を紹介し、その上で商用バックアップ・リカバリソフトが有用である、といったものでした。 バックアップだけであればntbackupなどのユーティリティでもできるが、DBMSを含めたシステム全体の統合管理は商用バックアップでないと実現できないといったことや、オフラインバックアップとオンラインバックアップの違いはバックアップを物理ファイルでとるか論理ファイルでとるかだが、システムデータベースのリカバリをするにはオンラインでないとできない、といったところなどは大変勉強になりました。 私自身業務でBackup Execを扱いますが、これまでほとんど基本機能しか使用していませんでした。そのため、オプションを加えるだけでさまざまな機能が使えるようになるBackup Execの守備範囲の広さを感じさせられました。特に普通であれば非常に工数のかかるシステムデータベースのバックアップを容易に実現させてしまうBackup Execに有用性を実感しました。
全体を通して、SQL Server管理上のバックアップ運用の指標や方法論を概念的に掴むことができる、そのようなセミナーだったと思います。私個人としては、バックアップやリカバリの具体的な操作・設定手順やSQLコマンドなど技術的な内容を求めているところがありましたが、それとはまた異なったアプローチからSQL Serverに迫ることができ、一層の理解が深まったと思います。 全体で3時間弱という短い時間ではありましたが、大変中身の濃いセミナーだったと思います。今回セミナーに参加させていただいたのはこれがはじめてでしたが、今回扱えなかったようなもっと深い内容のものや、バックアップに限らず他の分野を含めて今後もこのようなセミナーを開催することがあれば、ぜひ参加させていただきたいと思いました。 最後に、お忙しい中時間を割いて講義をしていただいた講師のお二方に感謝いたします。
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