きのうの本紙に「おやっ」という小さな記事が載っていた。神奈川県横須賀市長選の結果である。地元の小泉純一郎元首相が全面支援した現職が負けていた。小泉氏の威信低下をうかがわせた。
詳しい事情は分からないが、さもありなんという気がする。小泉氏は次期衆院選で次男を後継指名し議論を呼んだ。改革者の名にふさわしくない世襲路線を敷いたとして、地元でも落胆する人が目立った。
麻生太郎首相はどんな思いで市長選の結果を受け止めただろうか。小泉時代の終わりを感じたかもしれないが、まだまだ小泉政治の影響を引きずっているのは間違いない。
衆院解散に打って出られない理由の中に、衆院与党が持つ「3分の2」の威力があるからとされる。衆参で与野党の勢力が異なる「ねじれ国会」で政策を推進するには、衆院で再可決できる3分の2の力は捨てがたい。
小泉氏が圧勝した郵政選挙のおかげだが、今や裏目になった感が強い。小泉氏の後、三代に及ぶ首相が再可決の力を失うのを恐れて解散をためらった結果、求心力低下を招いた面がある。
自民党内では解散時期をめぐり激しい攻防が展開されているが、任期切れは間近だ。いつ解散しても五十歩百歩だろう。総裁選前倒しの動きなど、ごたごた続きは見苦しいばかりである。