スリランカ・コトマレの国営紅茶研究所(Tea Research Institute、TRI)で開発中の新種の茶の芽(2009年6月17日撮影)。(c)AFP/Lakruwan WANNIARACHCHI
【6月29日 AFP】世界最大の紅茶輸出国スリランカで、茶農園が集中する内陸高地がひどい干ばつに見舞われ、紅茶の生産が危機に直面している。
紅茶の需要の高まりで、国際的に価格は高騰しているが、2009年1-3月の茶葉収穫量は50%以上も減少。農家らは、天候を神に祈りつつ、枯れてしまった茶の木を抜く毎日だ。すでに100本以上の木がだめになった農家もある。
こうした紅茶生産地の1つ、コトマレ(Kotmale)の紅茶農園は、25年前にかんがい用貯水池を作るために現在の地に移転してきた。1984年の移転当時から紅茶を栽培している農家は、干ばつは88年にもあったが、今年はずっと深刻だと話した。「最近は少し雨が降るようになったが、降りすぎても茶の木はだめになる」
スリランカの紅茶産業は、こうした小規模の紅茶農家によって支えられている。同国の貴重な外貨収入源でもあることから、政府も紅茶農家の救済に乗り出した。
■気候変動が影響か、急がれる品種改良
コトマレから車で1時間ほどの場所にある国営の紅茶研究所(Tea Research Institute、TRI)では、乾燥耐性の強い茶葉の品種開発研究が進められている。人工授粉で厳しい気候にも耐えうる品種の改良に取り組んでいるが、完成は数十年先となる見通しだ。
「近年は、早朝に霜が降りるほど気温が低下するかと思えば、日中は乾燥して高温となる異常な気候が続いている」と、TRI所長。「気候変動の影響と考えられる。もはや、天候を予測することはできなくなってしまった」
世界市場における紅茶の価格は、2008年に約35%上昇した。小売り価格も6月から10%引き上げられた。しかし、スリランカの生産の3分の2を占める小規模紅茶農家が、その恩恵を受けることはない。(c)AFP/Amal Jayasinghe
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