こうして、全ての生活が明るい兆しを見せ、私たちは新たな第1歩を踏み出そうとしている。
「ほら〜学校遅れちゃうよ?早く早く〜★」
まどかは、あれから人の倍以上の努力を重ね、普通の人並みに体力が回復した。
むしろ、今では私の方が体力がないくらいだ。
「待ってよぉ・・・。」
「ほらほら、走って走って〜♪」
まどかにも、色々と迷惑をかけた。
これからは、私もまどかを守っていきたいと思う。
私の大事な大事な友達であり、家族なのだから。
「あら、おそよ。またお二人で遅刻寸前の登校?」
「遅くたっておはようって言うでしょ?普通、挨拶は・・・。」
「瑞穂がいけないんだもん。私は悪くないよぉ?」
「まどかは足が速いからギリギリに出ても間に合うけど、私の事考えてよぉ・・・。」
「相変わらず漫才だね、二人は。」
いたずらに笑う有里は、もうすっかりクラスに溶け込み、優等生になっていた。
成績は常に学年TOP、運動神経も元々いいので、先生にも一目置かれる存在となっていた。
これからは、棟崎の名に恥じないような生き方をして、育ててくれた父に最大の恩返しをしたいらしい。
「あ、藤埜さん、おそよ。」
「先生まで、なんでおそよなんですかぁ?」
「まぁ、いいじゃない。本当に遅いんだから。」
私を常に見守ってくれていた林先生は、いつもどおり保健室で変わらぬ笑顔でお仕事をしている。
生徒たちのよき味方であり、相変わらず正義感が強い。
それでいて、生徒顔負けの若さも持っていて、飽きない存在だ。
「今日も頑張ってね♪」
「は〜い★」
私とお母さんの関係についても、今は大分親子らしくなった。
いつもつけていた交換日記は廃止。
もう私と母の交換日記は、ペンをとる必要はない。
言葉での交換日記だから・・・。
いつも、私の一日の報告と、まどかの一日の報告をまとめて聞いていた。
その話を聞いている母親は、いつもとても優しい笑顔だった。
私とまどかは、その笑顔にいつも癒されるようになっていた。
そして、私自身にも大きな変化があった。
「瑞穂ちゃんといると、凄く自分が素直になれて、楽になれるんだ。」
そう、私は宇宙お兄さんと付き合うことになったのだ。
こんな私でも、一緒にいると安心できるからと言われるんだ。
そう思うと、自分もまんざら捨てたもんではないんだと思い直す事もできるものだ。
宇宙お兄さんには、本当に感謝を言葉で表すことができないくらい感謝でいっぱいだ。
でも、父の予言通り、付き合う事にあるとは、父は予言師なのかと疑ってしまうほど
その話を聞かされたときには、驚いた。
こうして、私たちの波乱の人生は大きく転換し、明るい未来へと一人ひとりの力で切り拓いていくようになった。
今、考えると自分の今までの人生はとてももったいないと思う。
いじめられていたから?自分の殻にふさぎこんでいたから?
それとは違う。
ただ純粋に『笑顔』という二文字の言葉を忘れていた。
『信頼』という二文字に欠けていた人生だったから。
人間とは難しい生き物だ。
けれど、それだけ難しいだけに、他のどの生物よりも生きていく楽しみ、
自分で見つけていく幸せというものがあって、とても楽しい。
自分の人生は自分で切り拓いていける・・・自分次第でこんなにも大きく変われるのだから・・・。
私は、これからの人生を大事にしていきたい。
もう、後ろは振り返ったりしない。
自分は誰からも必要とされていないんだ・・・とおおきな勘違いも恐らくもうしないだろう。
そんな事を考えていてもしかたがない。
それよりも、もっと自分を好きになってあげなくちゃいけない。
そして、他人をもっと愛していかなくてはいけない。
それが、人間がする最も必要な行為であり、感情なのだから。
もし、私のように自虐的な生き方を今も続けている人がいたら、全ての人に・・・全世界にこう言いたい。
力を抜いて、楽に人生を歩めるといいですよね。