白い雪…。その中ではしゃぎまわる女の子。
透けて見えそうなくらいの聡明な肌。
冷たい雪を溶かしてしまうくらいのまぶしい瞳。
雪で反射した光にキラキラ光る茶色の髪。
ある冬のあの切ない日の君を忘れない…
White Snow。
1.寒い冬 裸の木
あれは、3年前の冬。
ある一つの家に新しい家族ができた。
その数年前にその家庭では母親を病死で失っていたが、その家庭に、この年新しい母親を迎えることになったのだ。
「悠平、この人が新しいお母さんになる人だよ。」父親が言った。
「友子といいます。これからよろしくね♪」
「よろしく…。」
悠平の彼女を見つめる目は冷たかった。
彼女の目は、悠平から見て、とても信用のできるような人の目ではなかったのだ。
その悠平の予感は、見事に的中。
新しい母親友子は、結婚式をあげずに、その日から住みこんだ。
本来なら、幸せな生活が始まるはず…誰もがそう思うところだった。
「私がここに住むってことは、私の決まりに従ってもらうからね。」
その日から、友子の制圧のかかった家庭と化してしまった。
彼女は、大の人間嫌い。おまけに子ども嫌いであった。
それでも父親には、慣れない感情を抱いたらしく、言わば彼女の初恋が悠平の父親…ということになる。
「友子さん、ボクの部屋の荷物がないんですけど…。」
ある日、普通に学校から帰ってきた悠平は、自分の部屋のあまりの変わりように血相を変えて下へ降りた。
友子は、ただ黙って、不適な笑みを浮かべていた。
「友子さん!僕の部屋…。一体何をするつもりなんですか!?」
「あんたなんて、この家に住んでる自体が生意気なのよ!部屋があるだけでもありがたく思いなさい!!」
「…。」悠平は何も言えなかった。
こんな人間もいるのだろうか…。
悠平は、自分の存在をも否定されたことにより、自制心を失いつつあった…。
もうこんな生活耐えられない…。悠平は、ついにそこまで追いこまれた。
継母に自分の存在を否定され、それに耐えながらも生活していけば、あまりのさげすまれ様…そんな日々に、一人で泣く日が続いた。
→次へ
TOPへ→