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( ※ 本項の実際の掲載日は 2009-06-29 です。)
米(コメ)からガソリンを作るという話を、読売新聞が夕刊トップで大々的に報じている。
《 コメからバイオ混合燃料 》これは、読売だけが大騒ぎしている。他社は、馬鹿馬鹿しいと思ったらしく、そんなことはしていない。
コメから作るバイオエタノールをガソリンに混ぜて市販する国内初の事業を、全国農業協同組合連合会(JA全農)と新潟県などが7月中旬から始める。
生産調整(減反)で主食米の栽培ができない休耕田で原料のコメを育て、環境に配慮した「グリーンガソリン」として売り出す。
価格はレギュラーガソリンと同じ水準。
( → 読売新聞 2009-06-29 )
ま、エコ狂想曲の一つだ。検証してみよう。
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そもそも、「価格はレギュラーガソリンと同じ水準」というが、採算が合うわけではない。もともと休耕田として、補助金が入っている。「何も作らない」ということを前提として、補助金をもらっている。
だから、採算に合うとか何とかは、意味がない。コストには補助金の分が加算されるからだ。
で、その補助金は、どのくらいか? ネットでなく紙の新聞の記事によると、ガソリン原料としての米の買い取り価格は、コシヒカリを作った場合の 20分の1以下だという。
とすると、おおざっぱに言って、次のようになるだろう。
・ ガソリンの原料米 …… ガソリン1リットルあたり 50円
・ 食用コシヒカリ …… ガソリン1リットルあたり 1000円
これなら、20倍になる。
ま、これはちょっと極端だから、ちょっと補正すると、次のようになる。
・ ガソリンの原料米 …… ガソリン1リットルあたり 50円
・ 補助金込みの価格 …… ガソリン1リットルあたり 500円
これなら 10倍だ。だいたい、このくらいになりそうだ。
しかし、である。よく考えると、これでは、採算に乗らない。なぜなら、「休耕田」の場合は、農家は何もしなくていい。
一方、米を作るとなると、多大な労力や機械費や肥料費などがかかる。となると、10倍では割に合わず、やはり、20倍の金はもらわないと、採算に合うまい。(実は、20倍の価格[つまり現状]でも、多くの小規模農家は生活が成り立たない。)
結局、(1リットルあたり 50円に比べて)20倍以上の価格にならないと、農家としては採算に合わない。農家としては、通常の通りに米を作って、それを通常の通りの価格で売ってガソリン原料にするしかない。そして、その場合のガソリンコストは、石油由来の場合の 20倍になる。差額の 19倍の分は? 補助金でまかなうしかない。 (^^);
( ※ どうせなら、19倍と言うより、20倍と言った方がいい。どうせ概数だから。)
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コストの 20倍もの補助金! これぞ、究極の無駄だろう。
例として、太陽光発電の場合、1キロワット時あたりで、売電価格が 23円で、発電価格が 23円。そこで、補助金を 23円投入する。……この場合はコストと補助金の割合が同じだから、補助金の倍率は(コストに比して)1倍である。
ところが、米からつくるガソリンでは、補助金の倍率は(コストに比して) 20倍である。
太陽光発電の 20倍もの無駄をする究極の無駄。
こんなことが国家規模でなされたら、どうなるか? 日本人は、米由来のガソリンを作ることだけで、国力を使い果たしてしまうだろう。コンピュータも自動車も、あらゆるハイテク製品を作る労力はすべて失われ、米を作ることだけに熱中するしかない。そのことで、自動車を稼働させる。
結局、日本は米でガソリンをつくる途上国(農業国家)となり、先進国からコンピュータや自動車を買うハメになりましたとさ。
( ※ だったら最初から途上国をめざせばいいのに。エコがそんなに好きならば、農業国家になればいいんですよ。)
[ 付記 ]
そもそも、コストが 20倍にもなるほどにも金をかけてまで、ガソリンを使う必要があるのか? 単純に電気自動車を使う方が、よほど利口であろう。
エコにとらわれると、自分が何をやっているのか、わけがわからなく連中が多すぎる。彼らの目的は、「エコ運動」そのものとなってしまっている。かくて、莫大な無駄をしてまで、エコに邁進する。
「省エネ運動のために、莫大な金とエネルギーを浪費しましょう!」
考えてみれば、レジ袋有料化も エコキャップも含めて、みんなこうだ。
タイムスタンプは 下記 ↓
たぶん、ガソリン原料米とやらも植えたら転作奨励金がかなりの額をもらえるのではないでしょうか。しかし、普通に考えたら最初から食べられるお米を植えたいですよね。。