北九州市立4病院の2008年度事業会計決算で、単年度実質収支の赤字額が当初見込みの3倍強の約27億円に膨れる見通しであることが29日、分かった。入院費などの医業収益が想定比で20億円規模のマイナスとなった。特に経営が良くないのは若松病院(同市若松区)といい、同病院は売却や民間委託を含めた抜本的な経営形態の見直しが必至の状況となった。
市によると、若松病院と医療センター(小倉北区)、八幡病院(八幡東区)、門司病院(門司区)の市立4病院の会計は、08年度当初予算で約8億2000万円の赤字を見込んでいた。
しかし、若松病院で昨年6月までに内科医6人全員が大学医局に引き揚げて大幅な減収に陥ったほか、黒字を維持していた医療センターと八幡病院も医師不足や効率の悪い病床運用で外来と入院の患者数が前年度比で1割以上減って赤字転落の見通し。赤字幅は想定以上に拡大し、07年度の剰余金(約15億円)を充てても、なお約12億円の資金不足に陥る見通しになったという。
市は破綻(はたん)回避のため、金融機関などから一時借入金を充当。「このまま何の対策も講じなければ、雪だるま式に借金が増える恐れがある」(市幹部)として、経営形態の見直しが避けられない情勢だ。
若松病院は06年度決算でも約4億円の赤字を計上していたことから、市は07年7月策定の基本方針で同病院について、経営が改善されなければ、門司病院で今年4月に採用した指定管理者の導入や売却も視野に見直すことを明記していた。
=2009/06/30付 西日本新聞朝刊=