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読売販売店に警官が窓ガラスを割って侵入

6月22日10時26分配信 MyNewsJapan

読売販売店に警官が窓ガラスを割って侵入
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警察によって割られたYC水呑の窓ガラス
 2008年4月、読売の販売店であるYC水呑(広島県福山市)の窓ガラスが割られ、顧客情報が持ち去られたとみられる事件が発生した。情報管理者である店主に無断で侵入したのは、なんと読売側と結託した警察官だった。真相を解明すべく元店主が情報公開を求めたところ、大半が黒塗りになった書類が出てきた。後ろめたいものがなければ公開できるはず。背景を探ると、警察と新聞社の癒着関係が見えてきた。

 最初に窓ガラスを割ってロックを解除し、窓からYC(読売新聞販売店)の店舗に入ったのは、派出所の警官であるという複数の証言がある。これが事実だとしたら、警官と読売の共犯だ。その警官は、店舗の内側からドアの鍵を外し、表で待ちかまえていた読売関係者を、中へ入れたという。

 しかし、この事件についての情報を福山西警察署(広島県)が開示しないため、この件に関する警察の公式記録は分からない。窓を壊された元販売店主が警察署に対して行った情報公開で入手した書類も、その大半が黒塗りになっていた。従って書類から、警察の対応はほとんど読み取れない。

 改めて言うまでもなく公共機関に対して情報公開を請求することは、住民の権利として認められている。しかも情報公開を求めたのは、被害者のYC店主本人である。

 このYC水呑の事件には、日本の権力構造が影を落としている。一般的に新聞は権力を監視する役割を担っていると考えられてきたが、現実には権力を持った機関の広報部として機能している。だから権力とも原則としては敵対関係にはならない。それどころか新聞社が権力の広報部として機能し、その見返りとして、さまざまな便宜を受ける構図があるようだ。

 たとえば住民が非常な迷惑を被っていた新聞の暴力拡販になかなかメスが入らなかった理由として、警察と新聞社の間にある「情交関係」が一因だという仮説もある。

 そもそも広島の事件はどのような性質のものだったのだろうか。関係者の証言をもとに概要をたどってみよう。

 事件は2008年4月17日に広島県東部にあるYC水呑(福山市)で起こった。発端はYCを経営していた女性店主・門田由美子さんが、経営に行き詰まって朝刊の配達拒否を決行したことである。販売店経営を断念したのである。

 当時、同店で門田さんのもとで店長を務めていた武田彰(仮名)さんがストライキの前夜について話す。

 「門田さんが、明日は朝刊を配達しないと言うので、わたしは配達スタッフに意思を確認しました。スタッフたちも同意して、翌日の朝刊の配達を拒否することにしたのです」

 門田さんはドアに鍵を掛けて店舗を後にした。新聞が到着するのは午前2時45分ごろである。店舗にスタッフがだれもいないので、トラックから降ろされた新聞束は、店の前に積み上げられたはずだ。

 配達拒否を決行した後の午前9時ごろ、門田さんは読売の販売局に電話して、新聞を配達しなかった旨を公式に伝えた。この時間帯には、すでに新聞が届かないという苦情の電話が読売新聞社にも入っていたらしい。

 そこで読売関係者が門田さんのYC店舗に警官を連れてきて、窓ガラスを割ってもらって、内側に入った。

 関係者が店舗の中に踏み込んで次に取った行動については、門田さんと読売本社側では話が食い違っている。門田さんは、関係者がMOに保存された新聞配達に不可欠な読者情報をプリントアウトして、持ち去ったとしか考えられないと話す。

 これに対して読売の草野社員(仮名)は、門田さんの説明を全面的に否定している。情報そのものがなかったので、持ち出しようがなかった、と話している。具体的な電話インタビューの内容は次の通りである。

‐‐門田さんは、パソコンのデータ(読者名簿)を盗まれたと言っているのですが?

 「それはないですね。ないです。もともと・・」

‐‐パソコンのデータですよ。

 「ええ、なかったんです。もともと」

‐‐探したけど無かった?

 「もう、消去されていたんです」

 データが「消されていた」と話しているのであるから、少なくとも読者に関する情報を探したことは否定できないだろう。改めて言うまでもなく、読者名簿を入手しなければ、滞りなく新聞が配達できない。わたしは質問を続けた。

‐‐そうすると、どうして新聞の配達先を特定しましたか?

 「これはねえ、昔配達していた人に来てもらって、記憶で地図に印をつけてもらったんです」

 店内はかなり荒らされていた。鍵がかかった机の引き出しも、こじ開けられていた。以下、門田さんの見解である。

 「引き出しにMOを保管していました。侵入した者は、引き出しからこのMOを取り出して、パソコンにセットしてデータを画面に映し出し、それをプリントアウトして持ち去ったのだと思います」

 門田さんは店舗を閉じて自宅へ戻るときには、パソコンを他人が立ち上げられないように設定している。そのために大阪からパソコンを管理している会社のスタッフが駆けつけてきて操作した、という証言もある。門田さんは、あくまで読売の関係者が店舗に入って、読者情報を持ちだしたという主張である。

 これに対して読売の草野氏は、読売の関係者が店舗内に入ったことは認めるが、読者情報を持ちだしたことは否定している。

 しかし、読売関係者は、なぜ、警察の協力を得てまで店舗の中に入ったのだろうか。草野氏は、その理由について、店舗の中で門田さんの両親が倒れているのではないかと読売関係者が心配したから、と話している。

 が、この説明はどこか不自然だ。というのも門田さんの両親は店舗を住居にしていないからだ。住居は、店舗のすぐ近くにある。それに関係者の話を総合すると、店舗内に読売関係者が長く留まった可能性が高いからだ。

 とすれば読売関係者が警察の協力を得て店舗に入った本当の目的は、なんだったのか。これも推測になるが、新聞購読者についての情報を入手することだったのではないか?入手しなければ、どこの誰に新聞を配達していいのか分からないからだ。

 一方、窓ガラスを割った警察は、どのような判断に基づいて行動したのだろうか。取材を拒否している上に、情報も開示しないので真意がよく分からないが、この点について門田さんが警察に問い合わせたところ、次のような答が返ってきたという。

1、公共性がある新聞を配るためには、やむを得ない状況だった。

2、門田さんの両親の安否を確認する必要があった。

 これら2つの理由があるので、窓ガラスを割って内部に侵入しても、店舗を荒らしたことにはならない、という説明だったらしい。警察からわたしが直接聞いた説明ではないので、断言は出来ないが、もし「1」と「2」が警察の公式見解とすれば、これは読売新聞社の立場に理解を示していることになる。

 警察が実質的に事件に関する情報を開示しなかったのは、読売に配慮した結果ではないだろうか。他人の店舗に店主の許可なく入った事実があるので、警察情報を開示すれば、それが一応、裏付けられる可能性が高くなる。だから読売に気を使ったので
はないか。

(黒薮哲哉)

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最終更新:6月22日10時26分

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