担当編集者は知っている。




『ポン女革命!』
著者:蝶々
価格:¥ 1,365 (税込)
発行:マガジンハウス
ISBN-13:978-4838718788
【Amazon.co.jpはこちら】


OL兼銀座ホステスという転身を経て
作家として活躍する蝶々さんが
あたらしく、女性に向けた言葉集の本を出されました。
副題は、「ニッポン女性を、タフに美しく進化させる、
179のスローガン」。
閉塞感を感じている日本人女性を
応援したいという、蝶々さんの願いが詰まった、
栄養剤のような本です。
この蝶々さんの渾身の金言集を、
マガジンハウスの関さんにご紹介いただきました。
これまでの著作とはまた異なる、
蝶々さんのシャープな一面を
みなさんに知ってほしい、という気持ちも
この本には込められているそうです。
(「ほぼ日」斉藤)


☆今回は、お試しとして、
 第1章「凛々しい勇気」を抜粋してご紹介します。


**************************************

担当編集者 /
    マガジンハウス 第一書籍編集部 関陽子


●『ポン女革命!』ってなに?

『ポン女革命!』は、
蝶々さんの言葉のパワー溢れる金言集です。
主に、公式blog『CHOCHO生しぼり』から、
女性に向けたメッセージを抜き出し、
新たな書き下ろしも含めて1冊にしたもの。

ちなみに「ポン女」=ニッポンの女性という意味。



どことなく、生きにくさや閉塞感のある今のニッポンで
仕事や恋愛を自分らしくがんばっている女性たちが
「欲しい!」と願う7つの力
(勇気、恋心、胆力、母性、生命力、第六感、女力)を
引き出してくれる本です。
ニッポンの女性必携、の革命ハンドブック、のような。




●蝶々さんとの出会い

『ポン女革命!』を語るには、
まず私と蝶々さんとの出会いについて
しばらくお話ししたいと思います。

いまから4〜5年ほど前、当時私は『Hanako』編集部に
在籍していました。
蝶々さんはその頃、OL兼銀座ホステス時代の
日常&恋愛を綴った
『銀座小悪魔日記』が話題になっていて、
『Hanako』でも連載
『こんな女でごめんあそばせ』に収録)を
開始したばかり。
毎週繰り広げられる日常のエピソード(主に恋愛沙汰)は
半端なく濃厚で、
漫画みたいに次々にいろんなことが起きていて。
ご本人のぽんち(?)な人柄全開、
不思議な疾走感のある文体に混じって、
ときに不意打ちみたく、
真剣でバッサリな格言もありつつ‥‥
大好きな連載でした。

蝶々さんというと、
当時も、
累計50万部売れた恋愛How toの『小悪魔』シリーズ後も、
「赤裸裸な恋愛エッセイを書く作家」
「恋愛の教祖」
「小悪魔の元祖」
みたいな位置づけをされる作家さんだったのですが、
実は、その枠だけに収まらない方なのかもしれない、
と気付いたのもこの連載でした。
『こんな女でごめんあそばせ』の中で印象的だったのが、
この一節。

「自分を戒めたり、カルチャーショックを楽しむために、
 蝶々ときどき達三(石川)の本を読む‥‥石川達三。
 クラシックな倫理観をベースに、
 男性側のご都合主義的な展開で物語りまくっている作家。
 ギャグ本として読むとけっこうオツ。」

私はけっこう、衝撃を受けまして‥‥。
「蝶々さん、石川達三の本読むんだ‥‥」
という驚き以上に、
「男性側のご都合主義的な展開で物語りまくっている」
という、あまりにミもフタもない(笑)、
というか、あまりに的確でシャープな評に、
のけぞりました。
加えて、「ギャグ本」とは‥‥。
この方は、自分のスタンスが
ものすごくハッキリ定まっている。
その上で、肩書き、ステイタス、色眼鏡、全部取っ払って、
本質の部分をグッと素手で掴んで
見せられる人なのでは‥‥?
(活躍の場は異なれど、このノリ、このスタンス、
 漫画家の岡崎京子さんを彷彿とさせるものがあるな、
 と個人的には思いました)

ちょうどその頃に、
『Hanako』銀座特集の取材で蝶々さんと
初めて出会うのですが、
ご本人、連載時の印象と、違いがありませんでした。

色気をぽろぽろ落として歩いているような、
はかなげで女性らしく見える時と、
急に小さい子供のようにカタカタと屈託なく笑う時と、
腹に据えかねる! といった様子で、
ものすごい真剣な表情をする時と‥‥
コロコロと十一面観音のように自在に表情が変わるのです。
そして、まったくリラックスして
自由にお話しされるのです。
だからか初めてお会いしているのに、
あまり距離を感じさせない方でした。
そして、社交辞令やおべんちゃらの必要ないところで
コミュニケーションができる
不思議な安心感もある方で‥‥。
ひとことで言って圧倒的な魅力の持ち主でした。

とまあ、
随分と『こんな女〜』の頃の話を長々してしまいましたが、
その頃抱いた
「本質の部分をグッと素手で掴んで見せる」
「腹に据えかねる! といった様子で、
 ものすごい真剣な表情をする」
印象こそ、『ポン女革命!』の原点です。

いつもの蝶々さんより、
ちょっとだけシリアス。
「恋愛How to本の、小悪魔蝶々さん」
とは一歩はみ出した魅力があるので、
普段蝶々さんの著書を読んだことない方にこそ、
ぜひ手に取ってほしいです。


●シラケない金言

蝶々さんは、
恋愛遍歴を綴った『銀座小悪魔日記』に代表されるように、
作家として恵まれた「エピソードの人」であると同時に、
「自分が持っている知恵を普遍化・公共化する才能」の
持ち主だと思います。

『ポン女』を作る過程でもそれを実感しました。
デザイン面での工夫です。
蝶々さんからの申し出で、
文字は横組、書体はゴシックとしました。
理由は「上から目線の言葉にしたくないから」。
ダミーとして作成した、縦組×明朝だと、
ハクがつくというか、「もっともらしく」見えるのですが、
あえてそれを選ばなかったのです。
より親しみやすく、伝わりやすくを大事に。
こういうところまで目がいくところが、
さすが、と思った瞬間です。

蝶々さんは常に、
「役に立たなきゃ意味がない」
「伝わらなきゃ意味がない」
という姿勢の人。
それはもうストイックなまでに。


●ほとんどお経?

『ポン女革命!』は、「読む」ための本でなくて、
サプリメントみたいにエネルギーをもらったり、
自分がもともと持ってるパワーを引き出してくれる本。
ちょっと不思議な例えかもしれませんが、
従来の本のイメージでなく
「お経」(?)、あるいは「お守り」みたいなものと
思ってもらうと掴みやすいかもしれません。
持っているだけで安心するような、
心細くなったとき開くような。

なかなかじっくり本を読む時間、
取れない人が増えていると思います。
パッと見は、文字も少ないし、すかすかしていて
驚かれるかもしれませんが、
少し読んでみると、かえって言葉の力は、
ぎゅっと凝縮、際立ってることに
気付かれるかもしれません。
ぱらぱらっとめくって、
いまの自分に必要な言葉に出合ったり、
みんなでわいわいと回し読みして
気になる言葉を伝え合ったり‥‥。
(これが、個性の違いが出てなかなかおもしろい!)
「使える本」あるいは
「モノみたいに大事にしたくなる本」として
あらゆる女性たちに、長く愛される一冊になると思います。

最後に。
私が一番好きな言葉は、第2章「ときめく恋心」の中の
「人は、その魅力でしか、他人を縛れない。」です。
みなさんも自分の好きな言葉、
ぜひ本書で見つけてみてください。


▲第1〜7章は、それぞれ、赤、ピンク、オレンジなど
 色分けされていて、本の断面は
 虹色みたいになっています。
 きれいな色や市川智子さんによるイラストのかわいらしさもまた、
 本書の魅力です。


**************************************




『ポン女革命!』
著者:蝶々
価格:¥ 1,365 (税込)
発行:マガジンハウス
ISBN-13:978-4838718788
【Amazon.co.jpはこちら】

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-07-08-TUE

BACK
戻る