変われば変わるものだと驚いた。岡山市北区にある問屋町のことだ。かつては文字通り繊維などの問屋街だった。卸業者の事務所や倉庫が軒を連ね、やや殺風景な感じがしていた。
一般の人の出入りもほとんど無かった。それが今ではモダンな店構えの小売店が目立ち、若者や家族連れでにぎわっている。店はイタリア料理やカレーといった飲食関係をはじめ、衣料、雑貨など60を超す。
大変身のきっかけは規制緩和である。流通形態の変化で卸業者の廃業が進み、管理組合が2000年に定款を変更した。問屋以外の小売店の入居を容認した結果、立地条件の良さなどもあって新規出店が相次いだという。
地盤沈下による閉塞(へいそく)状況に風穴を開けた好例といえよう。農業の分野でも、活性化に期待がかかる大きな動きがあった。先日、改正農地法が国会で成立し、農地の貸借が大幅に自由化された。
これまで企業が借りられる農地は条件の悪い耕作放棄地などに限られていたが、優良農地も利用できるようになった。農業関係者の間には、企業の本格参入を警戒する傾向が強い。だが、担い手不足は深刻だ。
個人であれ、企業であれ、農業をする強い意思と技術があれば、道を開くのは当然だろう。改正法を生かし、多様な担い手で農業再生を図ってもらいたい。