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不死身のパッチや!関本サヨナラ打ァ〜

 九回、関本(中央)はサヨナラ三塁打を放ち、ナインと喜びを分かち合う
 九回、関本(中央)はサヨナラ三塁打を放ち、ナインと喜びを分かち合う

 「阪神3-2横浜」(28日、甲子園)

 虎はまだ死なん-。負ければ今季最多タイの借金10。首位・巨人とのゲーム差が14・5となる最大の窮地を救ったのはこの男だ。九回に関本賢太郎内野手(30)が、逆転サヨナラ打となる左中間への2点適時三塁打。そこまでの拙攻は忘れちゃならないが、執念を見せつけた勝利が逆襲ののろしだと、今度こそ信じたい。

  ◇  ◇

 視点が定まっていなかった。自然に声が上ずった。バッグをタスキがけにし、ロッカーから姿を見せた関本は関係者と次々に握手。通路奥のスペースで、番記者に囲まれ取材を受けるときになっても「今でもワケ分かってないです」と心ここにあらず。お茶の間に放送された興奮のお立ち台から10分以上経過しても、アドレナリンの噴出は止まっていなかった。

 舞台は土壇場の九回。桧山の犠飛で1点差となって迎えた九回二死一、二塁の場面だった。山口に対し初球をファウルしたあと、2球を見逃し1-2のバッティングカウント。この時点で打席の関本は冷静だった。「ボールも見えていた。(前進守備を敷く外野の)シフトも見えていた。間を抜ければサヨナラやなとは思っていました」。ただ、次の瞬間に本人の想像を超えたドラマが完成した。

 打ったボールは「知らん。スライダーかカットちゃうかな」。打った感触は「泳いで、詰まった」。それでも心で握ったバットに力は伝わっていた。打球が前進守備の左中間を破る間に狩野、葛城が次々とホームイン。「気持ちだけです。逆転するしかないし、つなごうと思ってたら最高の結果になって。打球があんなところに飛んでいって…」。夢見心地のまま、今季5度目のサヨナラ劇の輪の中心となった。

 序盤からちぐはぐな攻撃で横浜投手陣を攻略できず。気付けば2点ビハインドのまま九回を迎えていた。先頭の平野が二ゴロに倒れ、敗色濃厚と誰もが思ったはずだった。ところがここから奇跡の足音が聞こえ始めてきた。鳥谷、狩野、葛城の3連打で一死満塁。赤星の代打・桧山が左犠飛を放ち、野球の神様が関本に好機を贈った。

 必死だった。ベンチは2点を追う展開で九回に藤川を投入した。関本も「球児が出てきて、きょうは勝たなまずいと思った」とネジを巻き直した。自らがサヨナラのヒーローとなっても「チームの代表として打席に立った」とチーム一丸を強調。負けていれば借金10で首位・巨人とのゲーム差は14・5。関本が虎代表として窮地からチームを救った。

 お立ち台で高らかに言い放った。「とにかく選手も必死のパッチでやってますんで、これからも応援よろしくお願いします」。こんな劇勝をみせてくれるのなら、なんぼでも応援さしてもらいます。








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