ちょんまげワールドに続いて、長崎ハウステンボスの人気回復にも一肌脱ぐ事を決めた欽ちゃん
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欽ちゃんこと萩本欽一(68)が、またまたでっかいプランを練り上げている。いま、「ちょんまげワールド伊勢」(三重県伊勢市)の再建に乗り出しているが、並行して長崎県のリゾート施設「ハウステンボス」の人気回復に一肌脱ごうというのだ。2カ所をてこ入れして相乗効果も狙う。勢いがあるときには、さらに勢いに乗って−欽ちゃん流の勝負哲学で突き進む。(構成・愛智辰生)
◆「成功しそうな時は守っていてはダメ」
「ちょんまげワールドの次はハウステンボス。成功すると思ったら次に足をかけておかなくちゃ。成功して、それからというのは遅いんだよ」と、欽ちゃんは新たなターゲットを絞り込んでいる。ことし3月、自ら監督を務める茨城ゴールデンゴールズの交流戦を長崎県佐世保市で行ったときにハウステンボスの企画部と話す機会があった。欽ちゃんの構想は、劇場での芝居、そして野球チームを絡めたりしてハウステンボスの人気を回復させようというものだった。
欽ちゃんが再建に肩入れするコンセプトは「苦しんで、先への見通しがほとんど立たないこと」。自らのビッグネームを活用して周囲の応援を得ながら立ち直らせようというのだ。無から有を生むような離れ業に欽ちゃんは達成感と満足感を求める。
次から次に再建プロジェクトに挑むのは、自らのタレント人生で岐路に立ったときに得た教訓がベースにある。30年ほど前、そこそこに人気が出て、30%あまりの視聴率を良しとした。これからは力をセーブしてボチボチやっていけばいいと思った直後、作家の野坂昭如さんからテレビへの出演回数が少ないことを指摘された。欽ちゃんが考えを伝えたところ、野坂さんから「年1回だけしか出ないのは映画スター。たくさん出て嫌がられない人を一番優れたテレビタレントというんだ」。この言葉に衝撃を受けて目覚め、攻めの姿勢に転じた。
「マネジャーにスケジュールを尋ね、空いてる日があれば、マネジャーにGOと言ってどんどん仕事をこなしていったもんだよ」。そして、週合計で120%の視聴率を稼ぎ出し視聴率男の異名をほしいままにした。
「成功しそうなときは守っていてはだめ。勢いが勢いを呼び込んでくるものなの。ちょんまげがぐっーといくと、つられてハウステンボスもぐっーといく。互いに刺激しあっていくもの」と欽ちゃんは、相乗効果を説く。
本格的な参入は、未定だが、「来年か2年後くらいをめどにしている」。もちろん、ちょんまげワールドの活性化への努力も続けていくという。
一見、二兎(にと)を追うような格好だが、欽ちゃんの勝負哲学に裏打ちされた行動に注目だ。
■ハウステンボス企画部の話…ことし春に萩本さまと話をする機会を得ました。将来的にどのようなことをすれば、人気が出るかなど、いろいろとご意見をいただきました。まだ、具体的なものが出ているわけではありませんが、萩本さまのようなビッグネームに後押ししていただければ、これほど心強いものはありません。
【ハウステンボス】1992年3月、長崎県佐世保市で開業。建設などにかかった費用は総額2000億円以上といわれる。入場者は96年度には380万人を記録したが、2001年度の入場者は292万人まで減少、負債額は2289億円に達し、会社更生法の適用を申請して破綻に追い込まれた。現在経営再建の途上にある。
「故郷・佐賀と同じ風景にすぐなじんだ」と話す、島崎まゆみさん
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▼役者紹介 島崎まゆみ(22) 演技の心を勉強中
2年前に佐賀県から知人に紹介されて、入村した。緑に包まれ、広い空。「出身地と同じ風景だから、すぐなじみました」と屈託なく笑う。
村内の劇場「笑え亭」では姫役、人涙劇場では妹役で出演中。舞台を降りたあと、村内を歩いているときに「さっき、舞台にいた人だ」「面白かったよ」とお客さんから声をかけてもらうときが、至福の時だという。
もともと声を生かして声優を目指していた。しかし、体を動かして芝居をすれば、演技者の気持ちも理解でき、声優としてもっと幅が出るのでは、と村に来た動機を話す。
入村して1年目、喜劇王・欽ちゃんが村にやってきた。いまでも日本中を笑わせ続ける大物に直接指導してもらえる幸運に恵まれた。「何でも吸収したい」と意気込みは強いものの、なにせ計り知れないほどでっかい存在にとまどいを覚えることもしばしば。先輩を舞台に上げて指導しているとき、欽ちゃんがいう。「それは誰でもできる。ここ、村でしかできない表現をしなさい」。たとえば同じ立つにしても、つま先で立つとか、ちょっとしたしぐさで笑いをとることを指示しているのだ。島崎は、舞台下で聞いていて頭の中がこんがらがってしまう。「発想が、いままで会ってきた人とは違います。ついて行けないところがあります」とはっきり言う。
将来は声を使う仕事に就くつもり。ナレーター、コマーシャル、ドキュメントなど。欽ちゃんの指導で、未知の発想と出会った。将来の仕事に有益なヒントになりそうな予感はある。
「ここでの一日一日が本当に意味があり、楽しい」。だから毎日、佐賀にいる母親・さが美さんに電話で報告する。電話代に触れると「携帯の家族間の料金はタダなんです」。また、屈託なく笑った。
◆ちょんまげワールド伊勢 1993年、三重県伊勢市に「伊勢戦国時代村」としてオープン。2003年に「伊勢安土桃山文化村」と名称変更。昨年10月10日に欽ちゃんが村長に就任と同時に「ちょんまげワールド伊勢」(伊勢安土桃山文化村)に変更。
問い合わせ(電)0596(43)2300
<あし>◆三重交通バス 伊勢二見鳥羽周遊バス(CANバス)で鳥羽駅から約20分、宇治山田駅・伊勢市駅から約40分 JR二見浦駅から徒歩で約15分
◆マイカー 伊勢二見鳥羽ライン 二見料金所から約1分
【村内でお店開きませんか】
「ちょんまげワールド伊勢」を日本一のテーマパークにしようと損得抜きで、欽ちゃんと一緒に夢を見る人、村内でお店を開きませんか。敷金、礼金なし、2店舗のみ。問い合わせ(電)0596(43)2300 担当の五十子(いらご)まで
【欽ちゃんの演技指導受けられる】
「ちょんまげワールド伊勢」では、1週間の体験コースと1カ月コース、そして欽ちゃんの演技指導を受けられる3カ月コースを新設した。すべて要予約で、通学も可。宿泊施設もある。
問い合わせ「舞台のある学校」事業部(電)0596(43)2300(9時から17時まで)
◆欽ちゃんへの質問、応援メッセージを受け付けます 郵送の場合は、住所、氏名、年齢、電話番号を明記して 〒460 8511 中日スポーツ「欽ちゃん」係へ。メールの場合も住所、氏名、年齢を明記してkinchan@chunichi.co.jpへ
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