三菱ふそうトラック・バス(本社・川崎市)を解雇された元派遣労働者2人が29日、長期間同じ職場に派遣されたなどとして、正社員としての地位確認と330万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。長期間同じ職場で働く派遣労働は「常用代替」と呼ばれ、労働者派遣法の趣旨に反するが、これを違法として提訴するのは極めて珍しい。
訴えたのは、首都圏青年ユニオンの組合員で川崎市在住の鈴木重光さん(36)と同、林貴行さん(39)。訴状などによると、鈴木さんは05年4月から川崎工場でブレーキペダルなどの取り付けの仕事を始め、08年12月に解雇されるまで同じ仕事をしていた。
この間、派遣会社や請負会社などと契約を変えながら派遣労働者として働いた。林さんは05年9月から同じ派遣会社で、2日~半年の契約を繰り返し働いた。弁護団は「派遣労働が認められる『一時的・臨時的労働』ではなく、期間も派遣法の期間制限である3年を超えていた」と主張した。
鈴木さんは「4年かけて覚えた技術を生かすには、どうしても職場に戻りたい。不況だからしょうがないでは済まない」と話した。【東海林智】
▽三菱ふそうトラック・バス広報部の話 訴状を見ておらず、コメントできない。
毎日新聞 2009年6月29日 20時59分