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きょうのコラム「時鐘」 2009年6月29日
トキは石川を象徴する鳥だった。ライチョウは富山のシンボルだ。それが今は黒部にトキがいて、白山では66年ぶりに確認できたライチョウがいる。両県の主役が入れ替わったように見える
トキが滞在記録を更新中の黒部では、観察モニターが養成されるまでになっている。一方、石川県ではかつていたトキの剥製(はくせい)をDNA鑑定することになった。中に明治末期に白山ろくで捕獲された一体がある 明治期の白山の頂上付近にライチョウがいたことは間違いない。ということは、明治まで、山ろくのトキと頂上付近のライチョウは、高低差こそあれ、同じ白山で同じ時代の仲間だったということになる 昔の鉱山では小鳥がガス探知機の役割を担っていた。そのため鳥は、環境変化をキャッチする動物と言われた。21世紀の今、絶滅あるいは絶滅寸前になった鳥が注目されるのも、環境面の監視役を期待するからだ が、いくら放鳥数を増やし繁殖技術を向上させても、汚染のない自然を回復しなければライチョウもトキも一時の「お客様」で終わるだろう。現実に可能なのか。とてつもなく壮大な実験だ。 |