現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 記事

給食用炊飯器補助に学校冷ややか 申請わずか

2009年6月29日13時10分

 給食で温かいご飯を食べられるようにと、電気炊飯器の設置費として農林水産省が今年度補正予算に計上した10億円がほとんど使われない可能性が出ている。設置場所や工事費の確保などの課題が多く、学校の反応が冷ややかなためだ。応募締め切りは29日だが、申請はわずかだ。

 「米飯学校給食回数増加支援事業」は、米飯給食の回数を増やす計画づくりを条件に、小中学校へ炊飯器を普及させる事業。1台2万円を上限に、必要な台数分を助成。延長コードなどの機器にも10万円まで補助が出る。

 ただ、助成の対象は、農協などの生産者団体。農協などが学校に代わって炊飯器を買い、無料で学校に貸すという面倒な仕組みだ。農水省はその理由を「地場産米の利用拡大もねらって、生産者と学校が協力する仕組みをとった」と説明している。

 応募期間は今月8日〜29日。窓口となる全国七つの農政局は自治体向け説明会を開くなどしてPR。しかし、担当者からは「まだ申請がゼロ」「応募状況は芳しくない」との声が次々とあがる。

 大きな課題が学校の電気容量だ。炊飯器を同時に大量に使うため、「現時点の学校の電気容量だと難しい」(東京都教育委員会)との声が多い。電気容量を切り替えるには工事が必要だが、学校施設は文部科学省の所管のため、農水省の補助の対象外になっている。

 事業のモデルとなった高知県南国市では「温かいご飯で食べ残しが減った」などと好評で、03年度から週5回の米飯給食を実施中だ。

 農水省は「米飯給食を全国で週1回増やすと、米の消費量が3.3万トン増える」と皮算用。一方の自治体側は「関係機関の連携が必要で、すぐできない」(福島県いわき市)、「既に米飯給食が週4回でさらに増やすのは大変」(京都市)などと様子見の声が多い。10億円の助成額は大幅な未消化が確実で、農水省は2次募集も検討中だ。(吉田素子、中川透)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内