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【日本の議論】建設費なんと117億円「アニメの殿堂」は必要か? 衆院選の結果次第では… (3/5ページ)
“火の手”は与党の自民党内からも上がった。
各省庁の無駄遣いを点検する自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム(PT)」が6月8日に開いた会合でも批判が続出したのだ。
「運営コストを含めた見積もりがいい加減」
「117億円のハコモノとコンテンツ産業育成が結びつかない」
「今後さらに国費が投入される可能性が高い」
ついには、河野太郎PT主査が「このマンガ喫茶は予算執行を停止すべきだ」と、民主党の鳩山代表と同じ表現を使って“不要”を宣告した。
こうした批判に対し、塩谷立文科相は「アニメやマンガ、ゲームを産業として確立させ、日本経済を全体的に盛り上げていきたい。漫画家の松本零士さんからも『ぜひ応援したい』とおっしゃっていただいた」と反論。与謝野馨経済財政担当相は「安倍晋三内閣から始まって、福田康夫内閣の時代に決まった話」。河村建夫官房長官も「補正予算で突然出てきたものではない。『マンガ喫茶』と言うのは遺憾」と擁護し、火消しに回っている。
「作品展示やめて」「マンガの歴史保存必要」…賛否両論
漫画家やアーティストらの賛否も割れている。
反対派の急先鋒(せんぽう)は、漫画家の石坂啓さんだ。民主党有志が開催した勉強会では「額縁に入ったマンガの原画を見に来るようなファンはいない」と一刀両断。さらに、無駄な公共施設と指摘された「私のしごと館」(京都市)を引き合いに出し、「国が作ると、ものすごくつまらない施設になる」と突き放した。
石坂さんは平成11年度の文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞を受賞している。しかし、石坂さんはこうも言い切った。「大家の先生方はマンガが不遇だった時代の人が多いから、国が歩み寄ってくるとうれしく思う人がいるだろう。しかし、お上にほめられて喜ぶ漫画家はいない。むしろ、お上をちゃかすのがマンガの精神。私の作品が展示されることになるなら、賞状も賞金もお返しします」