2009年6月28日17時6分
未精算が再び増えた背景には、03年12月にBMDシステムの導入が決まり、イージス艦のBMD改修や海上配備型迎撃ミサイルSM3などのミサイル導入が進められていることがある。BMDの取引は年によってはFMSが半分近くを占めており、納品されたのに精算されないなどの取引につながる可能性がある。FMSの年間調達額は95年度以降、400億〜600億円程度に減っていたが、02年度に再び1千億円を突破。07年度まで900億円前後で推移している。
日本側は、(1)納入後2年以内の精算を目指す(97年以降)(2)未精算の前払い金を利子がつく防衛省名義の口座に入れる(05年以降)(3)明細書を入手し交渉で価格を下げる、などの対策を取っているが、実際に価格が下がったのは、02年度のイージスシステムなど一部に限られ、抜本的な改善につながっていない。
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防衛省の装備品調達問題に詳しい一橋大学イノベーション研究センターの西口敏宏教授(組織間関係論)の話 防衛省側は、ブラックボックス化した価格の内訳を問わず、合理的な値下げ交渉もしないまま、結果的に国民に損失を与えてきた。FMSを含む重要な海外調達には、今後早い段階から、(防衛省が)共同開発者として関与すべきだ。既製品を買うよりも、こうした共同参画によって、真のコスト情報が共有でき、合理的な買い物ができる。
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〈防衛省の装備品調達〉 防衛省が装備品などを買う方法は、(1)国産メーカー製品の購入、(2)海外メーカーから商社を通じて輸入、(3)海外メーカーにライセンス料を払って国内メーカーが生産した製品を購入、(4)FMS、の4通りがある。防衛装備品の選定で特定の業者に便宜を図ったとされる前防衛事務次官の汚職事件をきっかけに、防衛省は装備品調達の改革に乗り出しており、FMSも検討課題の一つに挙げられている。