2009年6月28日17時6分
米国政府から日本政府が直接、装備品などを買う有償軍事援助(FMS)契約で、日本側が代金を前払いしたのに、納品が遅れるなどで精算が終わっていない取引の累計額が07年度で3626億円に達していたことがわかった。FMSは「国庫金の有効活用が図られていない」と会計検査院から12年前に問題点を指摘されたが、再びその時の水準にまで戻っていた。背景には、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの導入が始まったことがある。
FMSは「日米相互防衛援助協定」などに基づき56年度から始まった取引。4月の北朝鮮ミサイル発射でも出動したイージス艦がもつ最新の対空戦闘装置など、米国が開発した機密度の高い装備品や、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の実射試験の支援などを、日本政府が米国政府から直接買う方式だ。米国が武器輸出管理法に従って出した見積もりに沿って日本が前払いし、装備品の納入後に、前払い金が精算される。
(1)納期がまだ来ていないなどで未精算(2)納期を過ぎて納品されたが、金額が確定していない(3)納期が過ぎたのに納入されないまま、の三つが主な未精算の状態で、特に(2)(3)が大きな問題になっている。
累計の未精算額は04年度に2216億円まで減ったが、06年度は3239億円、07年度は3626億円に達した。このうち(2)のケースが550件844億円、最も問題視される(3)が104件424億円あった。(3)のうち納期を過ぎて3年以上の取引は21件で、最大の約9年遅れが1件、約8年と約7年が各2件となっている。
会計検査院が初めて問題を指摘したのは97年度の決算検査報告で、未精算額は3345億円(本省の調達分)。米国から見積もりの内訳がほとんど示されず、米国の都合で納入や精算が遅れるなどの問題点があり、これまで計3度にわたって指摘した。