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【漂流 児童ポルノ】(上)四半世紀以上前の映像「よく売れる」 ネットが舞台、捜査難航 (2/2ページ)
県警の調べによると、当初は、インターネット上からダウンロードした作品を売っていたが、のちに“オリジナル”に触手を伸ばした。出会い系サイトで知り合った18歳未満の少女との性交を収めたDVDも売るようになったという。「本人に幼児性愛の嗜好(しこう)はない。児童ポルノに手を出した理由は『売れる』、それだけだ」。県警幹部は苦々しげな表情を浮かべた。
そんな“漂流物”のひとつに、かつては「合法」とされていたものもある。写真家の故清岡純子氏が撮った少女ヌード写真がそれだ。警視庁が今年3月、同法違反容疑で逮捕した埼玉県蕨(わらび)市の会社員の男(49)は18歳未満の少女が写った「清岡作品」をまとめたDVDを所持していた。
作品は、同法施行前の昭和50年代に撮られたもので、きわどい少女の肢体が収められている。平成11年の同法成立後、出版社は一部の作品を絶版としたが、それが逆に価値を高める格好となった。現在は違法となった“人気商品”。これがネット経由で売買されている。
静かに、だが、確実に存在する「児童ポルノ人気」。神奈川県警は昨秋、児童ポルノの画像投稿サイトを開設したとして、同法違反の疑いで、無職の男(43)を逮捕した。運営していた「さくらんぼ女学院」は、3年あまりの間で、約6155万件のアクセスがあった人気サイトだった。男は「金もうけのためにやった。広告代理店と契約を結び、いいときで月に60万円ほど稼いだ」と供述したという。
ビデオ業界関係者はその人気の秘密についてさらりと語る。
「通常流通している成人が出演するビデオだって『JK』(女子高生)や『援交』をうたった作品は人気が高い。そりゃ“本物”ならもっと売れますよ」
新作、旧作、元合法…。いったん世に出れば、ネット上を永久に“漂流”する児童ポルノ。ネットが舞台となることで捜査に難しさもつきまとう。法改正の議論が停滞する一方で、この種の犯罪は増加傾向にある。児童ポルノの現状を追う。