幼児2人をサドルの前後に乗せて走る自転車の「3人乗り」。街中でたまに見かけるが、バランスを崩しやすいフラフラした走行に「大丈夫かな」と気掛かりになる。
事実上黙認されてきた違法行為だが、来月からは安全性が確保された自転車に限り、「3人乗り」が解禁される。子どもの送り迎えなど移動手段に欠かせない子育て中の母親らにとっては朗報といえようか。
自転車事故の増加に伴い、警察庁は一昨年末、安全性の面から「3人乗り」の禁止を徹底させる方針を打ち出した。これに若い母親らは「非現実的だ」と猛反発。世論の後押しを受ける形で、条件付き容認に“急ハンドル”を切った。
安全な自転車の要件として、十分な強度やブレーキ性能、転倒防止のための操作性、安定性の確保などの基準が示された。メーカー側も3輪タイプや補助輪付きなど安全基準に対応した製品を開発している。
ネックは、安くても5万円程度と通常の自転車より割高になりそうなこと。家計の負担は重かろう。普及させるには、自治体による助成やレンタル制度の取り組みが必要ではないか。
専用レーンの設置や歩道の拡幅など自転車が安全に走行できる環境整備も欠かせない。何よりも大切なのは、この機会に安全への意識を一層高めることだろう。