きょうのコラム「時鐘」 2009年6月27日

 荒川静香さんの育った仙台市、青葉城近くに「フィギュアスケート発祥の地」がある。ほんの小さな池だが、明治期には厚い氷が張ったという

スケートやスキーは風土に密着したスポーツだ。氷や雪と無縁の土地から名選手は生まれにくい。が、最近のフィギュアスケートは、少々色合いを異にする。リンクの整備された大都市から名選手が生まれてくるからだ

荒川さんがトリノ五輪で金メダルを取り、仙台とフィギュアスケートのつながりが注目されたことがあった。都会型に移行しているスケートにも「伝統の力」があると久々に再認識させられたのである

北陸は雪に恵まれているが、氷との縁は薄い。見て楽しむファンはいてもスケート選手を育てる土壌も薄い。きょう明日、金沢の特設リンクに登場する荒川さんや安藤美姫さんらの演技は、スケートとは縁の遠かった北陸の人たちの目を奪うに違いない

で、先の仙台の池だが、今でも冬には天然リンクになるのかと聞いたところ「最近は滑るほどの氷が張らない」という。スケート界にも温暖化が迫っているのかと妙な感慨を覚えたのだった。