ポスト金正日は極秘扱いのはずが、それとなく情報を広めている可能性がある。西側マスコミに伝わることも織り込み済みだったとも考えられる。「日本人の感覚からすればわからないでしょうが、金正日さんに継承されたときも現在も状況は基本的に変わっていない。アメリカの挑発に対するにはますます強固な指導体制が必要なんです。確かに正雲氏がどんな人物かは知りません。でも、我々は本国が決心すれば、それに従うんです。共和国が精査し、テストして選んだのであればね。逃げるやつは逃げればいい」
いささか開き直りの言葉遣いが気になった。くだんの歌「パルコルム」は軍隊の行進曲をイメージさせる。どこか不気味である。梁石日さんは嘆いた。「危機感を持っているとは思います。あの体制をどこまで維持できるか、危惧(きぐ)してるはずです。党も軍も特権階級はひたすら自らの利権を守るため、さらに抑圧的になるかもしれない。それを中国が支え、在日の組織が支えていく。それでいいんですか」
大阪生まれの在日帰国者を母に持つ正雲氏よ、苦悶(くもん)する在日同胞たちの思いをいかに聞く--。
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毎日新聞 2009年6月25日 東京夕刊