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特集ワイド:北朝鮮、3代世襲 悩める在日(3/4ページ)

 なにも3代世襲を肯定しているわけではない。そうしかできないじゃないか、と苦しんでいるのである。「解放後半世紀を過ぎているけど、これだけ北が追い詰められた時代はないですよ。南北関係も冷却化している。とにかく南北が互いに手を結んで協調してほしいんだ。金正日さんが病気になって、体制を立て直すために息子を周囲で祭り上げた。それだけ。民主主義の国でないからね。変えるには革命しかない。それはできない」。顔をゆがめ、その深いしわをさらに深くした。

 在日は悩んでいる。明らかに。だが、祖国はこうした在日社会の真摯(しんし)な声に耳を傾ける気配はない。正雲氏後継をにらんでか、相変わらずの精神論で切り抜けようとしている。22日の労働新聞は<偉大な継承によって永久不滅の強盛大国の輝かしい未来がある>と書き、先代の世襲時になぞらえた。<朝鮮の軍隊と人民の精神力は、偉大な継承の歓喜で沸き返った70年代のように一層激しく噴出している>。朝鮮総連はいま一度、世襲を受け入れるのか?

 語るのは5月半ばから祖国を「療養」名目で訪問してきた朝鮮総連関係者。滞在期間中、正雲氏後継を肌で感じたという。「労働党員、軍人はみな名前も知っている。直接、聞くわけではないですが、わかりますよ。放課後に子どもたちが歌を歌いながら隊列を組んで行進している姿を毎日のように見ました。すぐそばでも目撃しました。歌は『パルコルム(足どり)』。2月の偉業を受け継いで前へ、前へ。つまり2月が誕生日の金総書記をたたえ、次なる指導者が現れると予感させました」

毎日新聞 2009年6月25日 東京夕刊

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