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【社会】

小中学生の8割超がいじめ経験 国立教育研調査

2009年6月26日 夕刊

 国立教育政策研究所は26日、首都圏の小中学生へのいじめの追跡調査で、8割を超す子どもが被害、加害をともに経験していることが分かったと発表した。研究所は誰でも被害者にも加害者にもなり得ることが裏付けられたとしている。

 2004年から3年間、首都圏のある市の小学校13校と中学校6校の約4800人を調査。毎年6月と11月に体験の有無などを調べた。

 04年6月時点で、中1だった687人のうち、「仲間外れ、無視、陰口」という被害が「ぜんぜんなかった」と答えた子は401人(58・4%)だったが、中3の11月には135人(19・7%)と減り、80・3%の生徒が被害を受けていた。

 同様の加害経験をしたかどうかでは、経験していない子は中3の11月時点で18・7%にとどまり、81・3%がいじめをしていた。

 小学4〜6年の調査でも、6年の11月時点で被害を受けたことのない子は738人のうち97人(13・1%)だけで、86・9%が被害を受けていた。加害経験のある子も84・0%に上った。

 中学3年間で「週1回以上」の被害を受け続けたのは2人(0・3%)。小学校は10人(1・4%)だった。

 研究所は「被害者は常に入れ替わっている。いじめっ子、いじめられっ子は特定の子という考え方を改めてほしい」と分析。結果を基に作成した教員用研修資料をすべての小中高校に配布する。

 文部科学省の問題行動調査によると、07年度に全国の小中高校が認知したいじめ件数は約10万件で、前年度よりやや減ったものの、高止まりの状態になっている。

◆気付かない子多い

 <教育評論家の尾木直樹法政大教授の話> どの子もいじめの被害者になり得ることが調査で裏付けられたのは一定の意味がある。ただ、どうすればいじめを防げるかを考えるのが大切だ。文部科学省はこの数年、「ゼロ・トレランス(非寛容)」という米国流の指導法を広め、いじめる子を押さえ込む厳しい対処を軸にしてきたが、排除が中心になり、かえっていじめが見えなくなっている。「ふざけているだけ」と考えて自分がいじめていることに気付かない子も多いのが実態で、豊かな人間性を育て、いじめを認識できる力を付ける教育が必要だ。

 

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