2009.6.19
2009年6月26日(金)21時〜22時52分放送
1994年6月、長野県松本市の閑静な住宅街で事件は起きた。オウム真理教による「松本サリン事件」。事件発生から15年、フジテレビでドキュメントドラマ化されることが決定した。2009年6月26日(金)放送の金曜プレステージ『妻よ! 松本サリン事件犯人と呼ばれて…家族を守り抜いた15年』<21時〜22時52分>は、ドラマとドキュメンタリーを融合したスタイルで、ドラマ部分では夫・河野義行さん役を石黒賢、そして、妻・河野澄子さん役を松下由樹が演じる。また、長男・仁志さん役を浅利陽介、長女・真澄さん役を前田敦子が演じる。「松本サリン事件」が本格的にテレビドラマ化されるのは初めてのことだ。
以上のようにテレビドラマ化が決定し、6月11日、都内で、石黒賢、松下由樹の取材が行われました。
それぞれの役をどのような気持ちで演じているか、このドラマを通じて何を伝えたいかなど、このドラマに対しての強い思いを聞くことができました。
(2009年6月11日 制作発表より)
取材の途中、台本の感想を聞かれた石黒賢は、河野さんの“とにかく一日でも妻と一緒にいたい”という気持ちについて語ろうとしましたが、感情がこみ上げてきたのか、言葉を詰まらせるという場面もありました。
「松本サリン事件」そして、「“疑われた”家族」。どちらも紛れもない実話であること。石黒賢、松下由樹をはじめとする出演者、制作に携わっているすべてのスタッフが、この実録ドラマを通して伝えたいこと、感じて欲しいことで胸がいっぱいである…、そんな誰もが何かを考えさせられるような現場でした。
とにかく一日も長く澄子さんとの時間を共有したい、子供たち、家族を守らなければいけないという気持ち。そして、普通だったら感情的になって冷静になれないはずである、警察やマスコミに対する不信感と怒りに対して、毅然とした態度がとれる河野さんに惹かれました。そういった怒りや憎しみにエネルギーを使うのではなく、大切な人にエネルギーを使っていきたいという、様々な河野さんの感情を演じていきたいと思います。
ご夫婦がとても仲が良く、家族愛が自然に沸き上がっているような、本当に素敵な家族だと感じました。脳の萎縮が進む中で“魂での交流”が当然ながらあったと思います。澄子さんの「伝えたい!」という気持ちをあまり曲げないで伝えることができたらと思っています。
河野さんが大きな苦難を乗り越えたのは、早く弁護がついたこともありますが、家族のきずな、家族が結束して河野さんを守ったことが大きかったと思います。
警察は河野さんを最初から犯人視していたので、依頼を受けたときから、私は「刑事弁護」だと思っていましたが、河野さんは今でいう「報道被害」、事実無根の報道をしたマスコミを訴えたいという気持ちが大きかったみたいです。私と河野さんの間には最初、考え方の食い違いがありましたが、次第に河野さんは自分が深刻な事態に置かれていると理解してきました。
マスコミの報道は今も、いつ逮捕されるのか、いつがXデイだとか“極限の報道”ばかりに意識がいっており、「松本サリン事件」を通過しても、表面的な反省はあっても、マスコミ、特にテレビ報道はむしろ悪化している部分もあるのではないかという思いが私にはあります。
Q.河野さんの「松本サリン事件」に対する現在の思いは?
すべての人が大きなリスクを持ちながら生きている。個々にとっては、明日生きられるかわからないというのが、まさに人生だと思う。私にとって、事件は、一言でいえば「非日常」が「日常」になった出来事。その「非日常」を受け入れて、同じ生まれて生きるなら楽しく生きたい、それはまさに自分の人生をつまらないものにしたくないから、ということだと思います。