医師は集団発生把握の意識を―厚労省の新型インフル新指針(1)
今秋以降の再流行が懸念される新型インフルエンザの対応策について、厚生労働省は6月19日に「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」を改定した新たな方針を示した。また、25日にはこの方針をより詳細に示した事務連絡を各都道府県などの衛生主管部(局)にあてて出し、26日には「新型インフルエンザ対策担当課長会議」を開催して、一層の周知に努めている。原則として、すべての医療機関で新型インフルエンザ患者の診療を行うことなどを盛り込んだ新方針の中で、医療提供体制はどのように変わり、各医療機関はどのようなことが求められているのか―。5回に分けて、詳細をお伝えする。
同省は26日に開催した「新型インフルエンザ対策担当課長会議」で、医師から保健所への届け出範囲を見直す省令改正の手続きが完了する7月中旬以降の、医療機関での新型インフルエンザの診断の流れを説明した。
それによると医療機関は、インフルエンザ様症状のある患者が受診した場合、臨床症状や簡易検査の結果を踏まえ、医師が診断する。
その結果、インフルエンザと診断された場合は、季節性、新型を問わず、▽同一の集団に属するインフルエンザ患者を7日以内に2人以上診察▽問診を行い、インフルエンザ様症状のある人が患者の周囲に1人以上いると判明―を基準に、学校など同一の集団に属する別の患者(疑いを含む)がいるかを医師が把握する。このため、同省では「医師には、患者が生徒、児童である場合には、患者の通う学校の情報を診療録に記載するなど、患者が所属する集団について、普段から意識しておく習慣を持つことが必要」としている。
同一の集団に属する別の患者がいた場合、医師は最寄りの保健所に連絡するとともに、複数の患者のうち、一部の患者の検体を採取する。
その後、保健所が地方衛生研究所に検体を送り、地衛研でPCR検査を実施。その結果、新型インフルエンザ患者と確定診断された場合のみ、医師は感染症法に基づく確定患者として保健所に届け出を行う。
一方、同一の集団に属する別の患者がいない場合や、PCR検査で新型インフルエンザ陰性の場合などは、一般の診療を行うとしている。
同省の担当者は「集団」について、「主に学校や施設を念頭に置いている」とし、「家族や友人に1人でもインフルエンザ症状がある場合、直ちに最寄りの保健所に届けることを求める趣旨のものではない」と強調した。その一方で、同じ学校などに属さないものの、同じ運動競技大会の参加者や地域のスポーツサークルなどの中に、インフルエンザ様症状の人がいるといった情報がもたらされた場合は、「大規模な感染拡大につながる端緒をとらえている可能性がある」として、医師らから保健所に連絡する必要があるとした。
【関連記事】
全医療機関で新型インフル診療―厚労省が新指針
新型ワクチン、7月中旬に生産開始へ
国内での新型感染者が1037人に
重症化防止へスイッチ切り替え、「正に医療の出番」
患者は原則、自宅療養に―厚労省の新型インフル新指針(2)
更新:2009/06/26 23:40 キャリアブレイン
新着記事
7月中旬にも「集団発生サーベイランス」へ― ...(2009/06/26 23:44)
原則、全医療機関で診療―厚労省の新型インフ ...(2009/06/26 23:43)
ワクチン、2500万人分を下回る可能性―厚 ...(2009/06/26 23:42)
注目の情報
[PR] 医師の転職ならCBネット
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第67回】ジョン・グエンさん(国際薬学生連盟会長) 改正薬事法の施行や薬学部教育の再編など、薬剤師を取り巻く状況が近年、目まぐるしく変化している。チーム医療の観点から、より臨床に強い薬剤師を育成しようと、国は2006年から6年制の薬学部教育をスタートさせた。厚生労働省は現在、国家試験制度の大幅な見 ...
労働環境の悪化などが原因で、勤務医から開業医の道を選ぶ医師がいる中、「病気の発生を未然に防ぐ予防医学や公衆衛生などの分野も魅力があります」と話すのは、財団法人岩手県予防医学協会で常務理事を務める十和田紳一さん。同協会は、岩手県内全域をカバーする健診センターの中核施設であるため、検査・健診結果などの ...
WEEKLY