戦時中に広島と新潟の建設現場に強制連行されて重労働を強いられたとして、中国人男性らが西松建設(東京都港区)に賠償を求めた訴訟の最高裁判決(07年4月)を踏まえ、西松が全面的な解決を目指し元労働者側と協議を始めたことが分かった。
最高裁判決は請求を棄却する一方、被害救済に向けた努力を促していた。
西松の顧問弁護士である高野康彦弁護士が取材に対し「原告以外を含めた全面的な解決を目指して協議を始めた」と明らかにした。西松側はこれまで「問題は全面的に解決した」との立場を取ってきたが、違法献金事件で経営陣が交代したことを契機として、企業責任を重視した対応に方針転換したという。
1944年当時、同社が発電所建設工事を請け負った広島と新潟の現場には約360人と約180人が強制連行され、うち約40人が事故や病気で死亡したとされる。【銭場裕司】
毎日新聞 2009年6月26日 東京朝刊