闇の中にポーッ、ポーッと淡い光が飛び交う。見る人の心をとらえ、幻想的な世界へと導いてくれるホタルは初夏のうれしい風物詩だ。
世の中には煙たがられる存在のホタルもいる。ベランダなどでたばこをくゆらせる「ホタル族」。肩身の狭い思いをするくらいなら、きっぱりやめてはと思うのだが、愛煙家には難しいようだ。
先日、米国初の包括的たばこ規制法案に署名したオバマ大統領も、禁煙には苦戦しているそうだ。大統領選の期間中に禁煙を「公約」したものの失敗。「ホワイトハウス入りしたらやる」との宣言も実らず、「現在も格闘中」とか。
「95%克服したが、たまにしくじる」。雄弁さで知られる大統領も言い訳にたじたじだ。就任以来、経済危機、北朝鮮やイランの核開発問題など難題続きに、つい手が出たのだろうか。
喫煙者には、どうしてもやめられない誘惑があるようだが、健康を害したのでは割が合わない。家族や周囲の人を巻き込まぬためにも、禁煙の取り組みを一層広げていく必要がある。支援する手だても増えてきた。
禁煙の壁に苦闘するオバマ大統領に、世界的な禁煙運動の先頭に立ってほしい。人気が高い大統領が「一緒に挑戦しよう」と呼びかければ「イエス・ウィ・キャン(できるさ)」と意気込みが強まらないか。