期待の“サラブレッド”が互いの健闘を誓い合った。
ボクシング元2階級世界王者の井岡弘樹のおいで、4月に白星デビューを飾った井岡一翔(20)=井岡=が、7月26日の第2戦に向けて、鳥取県の競走馬のトレーニングセンター・大山ヒルズで10日から合宿を張った。
練習終わりにトレセン関係者が「ダービーを勝ってほしいくらいの馬」と期待する今年の安田記念(GI)3着のファリダットの全弟で8月にもデビュー予定の時価数億円のカザンリク(牡2歳)と対面。「でかい!」と期待のホープも馬にはおっかなびっくりだった。
ライトフライ級11位までオファーを出したが全員に断られ、相手探しが難航した2戦目だが、「次はラウンドが長くなるし、この合宿で追い込んで自信につなげたい」
スタミナ強化のため、当初は1983年4月に阪急の福本豊氏がPRイベントで西宮球場で馬と競走したように、競走馬と走る案もあったが断念。代わりに高低差約50メートル、約1.2キロの車道の“坂路”を何度も全力で駆け上がった。
井岡会長らと軽トラックの荷台に乗る私たちの前で一翔はひたすら駆け上がる。200を超えたら失神すると言われる心拍数は8本目には196まで到達した。
4月に発足した後援会「一翔会」の会員は現在約900人。武豊騎手も名を連ねており「色んな人に見に来てもらえると思うのでこの前以上の試合をしたい」と力を込めた。高まる周囲の期待に井岡会長は「史上最短ですからね」と早ければ10月にも3戦目を用意している。
6冠を達成した高校時代は次々とGIを勝つ名馬ディープインパクトに自身を重ねていたという大物ぶり。辰吉丈一郎らを抜く、史上最速の日本タイトル奪取は現実味がある話だ。
渡部 陽之助(わたなべ・ようのすけ)
1978年(昭和53年)4月25日、京都府生まれ。慶大卒。総合電機メーカー勤務を経て06年4月に入社。運動部一般スポーツ担当。戦前に選抜高校野球に8度出場した甲陽学院高(当時は中学)では硬式テニス部に所属。趣味は旅行。将棋と麻雀と競馬を少々。時間が許せば世界3大滝(ヴィクトリア、ナイアガラ、イグアス)に打たれるのが夢。